浪費が目立つのと重なって、母親はよく転ぶようになっていた。慌てて、ばたーんと派手に転ぶ。外に出ては、でーんと転ぶ。これも、もともとよくあることだったため、そう深刻にはとらえていなかった。遠方に住む姉にふと相談すると「すぐに病院に連れていって! 精神科を受診させて」と慌てている。受診すると小脳に萎縮が見られ、薬が処方された。

デイサービスと自宅介護

 だんだんと、曜日が分からなくなり、電話に出ても誰からの電話かを取り次げなくなり、日常生活に支障をきたすようになっていった。身近なところに介護施設で勤めていた人が何人もいたことから、介護認定を受けるよう勧められた。7段階ある介護度で4番目に重い要介護2と判定され、5年前からデイサービスに通うことになった。

 しばらくは一人で風呂に入っていたが、そのうち風呂場に行っても身体を洗わないまま出てきてしまうことが増え、父親と瑠衣さんが交代で風呂場についていって母親の身体や髪を洗った。トイレも最初の頃は一人で行けたが、みるみるうちに介護用のパンツ型のオムツや尿取りパッドを使うようになった。

ADVERTISEMENT

 昼夜が逆転して夜遅くに外に出ていくようになったため、夜間に家を出ると警備会社に通報がいくように赤外線の探知システムを導入。窓を開けるとサイレンが鳴るようにもした。日中は目が離せず、月、水、金、土曜はデイサービスを利用。ここ1年は、いつどこに行くか分からない母親を見ていることができず、日曜以外はデイサービスに母親を送り出している。要介護2から3に介護度が上がったが、週6日のデイサービスの利用は介護保険サービスを受ける限度額を超えるため、超過した月2万円ほど自己負担している。ケアマネージャーは自己負担が発生することを心配したが、瑠衣さんと父親でみるのは限界。仕事の繁忙期はショートステイも使うようになった。

 デイサービスで入浴するのは午前中。夕方に帰宅してから寝るまで時間があり、オムツをしているため臭いがしてしまう。父親は「臭うと介護施設の職員に悪い」と、夕食を済ませた後でまた母親を風呂に入れる。父親は料理以外の家事のほとんどをテキパキとこなす。夏になれば庭の草を刈り、日常の車の運転も苦になっていない。朝は父親が母親にご飯を出し、介護を分担している。