知り合いの家庭でも、遠方に住む家族が「なんでデイサービスやショートステイを使うのか」と同居して世話する家族を責める話をよく聞く。「だったら毎日、介護して、オムツを交換してみろ」と思えてならないのだ。
排泄介助の現実
トイレに誘導しようとして行きたがらない時は、決まって既にオムツの中で排便している。「あ、なんか臭う」と気づき、オムツを覗くと「うんち、出てるじゃん」。母親は「何のこと? 私、トイレに行かない」と頑なだ。
いざオムツ交換する時にも、オムツを脱いで下におろした時に母親がうまく足を抜けずに便を踏んでしまう。すぐに拭いて風呂場に連れて行って、足を洗う。その間に、電話が鳴る、宅配便が来てチャイムが鳴る。家には他に誰もいないため、焦る。まるで赤ちゃんと2人のような慌ただしい生活だ。
汚れた服を洗うのも一苦労。他の洗濯物と一緒に洗濯機では洗えないため、バケツに漂白剤を入れて別にして手洗いする。忙しい時に限って、お漏らしをする。
「親のオムツ交換、というか、排便には正直、すごく抵抗感があります。乳幼児と違って、うんちの量は多いし臭いもきつい。この前までトイレに行けたのに、と思うと空しくなるんです。うんちが出ていることが、もう、自分で分からなくなっている。すごく臭いんです。なのに、何のことかと言っている母に腹が立って、腹が立って、『こんなに臭いのに、何、出てないとか言っているのよ!』『なんで分からないの!?』と怒鳴っている自分が、まるで虐待をしているようで、嫌になるんです。他の人からは分かってあげなよと言われますが、無理です……」
預けやすい制度が必要
介護職員に母親はニコニコとして、いつも「ありがとう」と丁寧だが、瑠衣さんには「あー?」と不愛想になるという。母親の介護をしながら瑠衣さんは「私は介護には向いていない。自分の思い通りにいかないと頭に血が上ってしまう。介護は職業として行う人が必要だと痛感しています」と話す。
子どもの場合、児童虐待を防止するために親が働いていなくても保育園に預けることができる制度がある。瑠衣さんは「介護を苦にして親を殺してしまったり、虐待したりする事件が起こっているのだから、そうした事件を予防するためにも、もっと介護施設に預けやすい制度が必要なのではないでしょうか」と思ってやまない。
働き盛りの40~60代の女性も増えており、家族の介護はますます簡単なものではない時代になっている。
