また物理的な古さ、建物の老朽化と外観が悪い印象につながっている。図書館を使っていない人たちは図書館の建物を「時代遅れ」「うすぐらい」「さむい」と感じ、利用をためらっていた。また、Wi-Fiの品質や図書館で使えるコンピュータなどにも不満をいだいている。さらに、

・ 車椅子利用者には書架が高すぎてとどかない、通路が狭く移動しにくい、スタッフのサポートが得られるか不安だといった身体的なカベ

・ 発達障害や社会不安がある人々には、図書館は文字情報や複数の人の存在・挙動が一挙に目に入ってくるため過度に刺激的であったり、あるいは見られているという緊張感や「静かにしなければ」という圧力が不安の種になったりするという、感覚・心理的なカベ

 も指摘されている。

 物理的な通いやすさも問題だ。地方では図書館までの公共交通機関の便がわるく、子どもをはじめ、自ら自動車の運転ができない人たちは気軽に行けないこともよくある。大人でも、開館時間が仕事や育児のスケジュールと合わないこともめずらしくない。

ADVERTISEMENT

 図書館が「行きたい場所」であり、かつ「気軽に行ける手段とコスト」がそろわないかぎり、人は行けないし、行かない。

 もちろん、電子書籍や電子図書館サービスも、UI/UXが使いにくかったり、デザインが魅力的でなければ「本は読みたいが、このサービスは使わない」になる。同レポートでは、オンラインサービスは存在自体が知られていない、知られにくいことが課題とされている。

 とはいえ移動や建物のインフラをめぐる物理的な制約は、電子なら解消できる。

 待てない

「すぐに行けない」「すぐ手に入らない」せいで、本を買いたい気持ちや読書に対する意欲が失せてしまうことはよくある。

 どのくらい待てるかは人にもよるし、待っているモノにもよる。しかしだれも積極的に待ちたいとは思っていない。

 米国図書館協会(ALA)の2023年のレポート『Gen Z and Millennials: How They Use Public Libraries and Identify Through Media Use』によると、アメリカのZ世代(2022年時点で13~25歳)やミレニアル世代(同26~40歳)の 54%が過去12か月以内に図書館(リアル)を利用し、図書館のデジタルコレクション(電子書籍やオーディオブック)の利用は全体の 37%だった。

 じつは、より若いZ世代よりも、ミレニアル世代のほうが電子図書館の利用率が高い。

 若い世代の利用率が低いのはなぜか? 電子図書館を使っていない人の大多数は「アクセス方法がわからない」と答えていた。