いま、韓国の若者たちの間で「テキストヒップ」と呼ばれる新しい読書カルチャーが爆発的なブームを呼んでいる。お気に入りの文章を書き写して「デコる」行為や、お酒を楽しむ「ブックバー」など、もはや読書は参加・体験型のエンタメへと進化した。「こうあるべき」という呪縛から解放される、新時代の“ゆる読書”とは。ライターの飯田一史氏による『9割の日本人のための「ゆる読書」入門』(時事通信社)の一部を抜粋して紹介する。

写真はイメージ ©AFLO

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韓国のテキストヒップ現象

 韓国では2024年初頭ごろから「テキストヒップ」と呼ばれる現象が起こっている。読書を自分の個性やセンスを表現するものとして消費するものだ。ここでも「読書」が拡張されている。たとえば以下のような複数のトレンドがある。

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・「書く」「飾る」

 詩集や古典・名作などの本ほんからお気に入りの文章をノートに手書きで書き写す「筆写(ピルサ)」を行おこない、その手書き文字を撮影してソーシャルメディアにアップする。これは「ライティング・ヒップ(WritingHip)」とも呼ばれ、この流行から文房具需要にまで火がつき、ガラスペンや筆写専用ノートがよく売れた。また、ステッカー、マスキングテープ、特製のブックカバーなどを活用して、本自体を自分好みにデコることも流行っている。

・体験型読書

 ソウルを中心に、お酒を飲みながら本を読むブックバーや独立系書店、期間限定のポップアップストアなどを訪おとずれて撮さ つ影えいする、あるいは野外図書館などの屋外の開放的な空間で読書を楽しむ、若者が集まる聖ソンスドン水洞などにポップアップストアを出店する例もある。

 文学トンネによる「村上春樹ステーション」や「フランツ・カフカ没後100 年記念カフェ」などは、長蛇の列をつくる大成功を収めた。文学トンネはブッククラブを運営し、提携カフェでのドリンク交換やアジト利用権などオフライン体験を強化し、20代の新規加入者が大幅に増えている。

 また、リーディング・パーティーやリーディング・モブと呼ばれる、「強制的な会話なし」「課題図書なし」で参加者がただ集まり、各自が持参した好きな本を読み、適当なタイミングで解散する、あるいは、簡単な自己紹介や雑談程度ですませるイベントも行なわれている。場所は漢江の公園や景色のよいルーフトップなど。第1回ソウル・リーディング・パーティーは、チケットが数時間で完売し、本の表紙を隠して交換する「ブラインドブック」などの遊び心ある企画も実施された。