井口資仁新監督が就任し、準々決勝敗退という屈辱から新たなスタートを切る侍ジャパン。しかし、最強メンバーで臨んだ大会で過去最低のベスト8に終わった背景はまだ詳らかにされていない。「週刊文春」が関係者に総力取材し、お届けする日本代表“失敗の研究”――。

(初出「週刊文春」2026年5月7日・14日号 前後編の前編/後編を読む)

 現地時間3月15日午前0時過ぎ、マイアミにあるローンデポ・パークのロッカールームは、異様な緊張感に包まれていた。

 “史上最強”と謳われたメンバーで、WBC連覇を目指した侍ジャパン。彼らはこの日、ベネズエラに惨敗し、過去最低のベスト8という結果に終わっていた。

 選手、コーチ、スタッフ……多くの関係者が(うつむ)き、黙って立ち並ぶなか、2023年からこのチームを率いてきた井端弘和監督は、意を決したように中心へと進み、「お疲れ様でした」と言い、こう口を開いた。

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「勝たせることができなかったというのは、すべて私の責任だと思います。(中略)この悔しさを持って、今シーズン戦ってもらえればいいかなと思います」

 4月20日、ネットフリックスで配信されたドキュメンタリー映画『戦いの向こう 侍たちの記録』のクライマックスのシーンだ。

 そして井端監督が「本当に今までありがとうございました」と言うと、大谷翔平ら選手たちが、頭を下げる姿が映し出される。

 同作では、ロッカールームでのシーンはここで終わっている。だが実は、この試合後の“反省会”には衝撃的な続きがあった。

 ある代表選手は、本誌の取材にこう吐露した。

「僕らは負けるべくして負けたんです」

過去最多8人のメジャー組を招集

 連覇を目指し、大谷をはじめ、山本由伸、鈴木誠也、村上宗隆など、過去最多となる8人のメジャー組を招集して臨んだ侍ジャパン。1次ラウンドを全勝で突破し、準々決勝ラウンドへ駒を進めた。だが、ベネズエラは想像以上の強敵だった。

山本由伸 ©時事通信社

「初回に先発の山本が先頭打者にホームランを浴びる。裏に大谷がホームランで1点を返し、怪我をした鈴木に代わって入った森下翔太のスリーランで逆転。しかし、後続が次々に打ち込まれ、5対8で逆転負けを喫した」(スポーツ紙記者)

鈴木誠也 ©時事通信社

 9回裏、大谷が凡打に倒れてゲームセット。この瞬間、連覇の夢はついえた。

 この時、現地で解説をしていた男は、目に涙を浮かべていた。WBCに過去3大会出場した内川聖一だ。

 その内川が語る。

「13年の大会では、私の走塁ミスがあり、準決勝で敗れてしまいました。負けた後の監督、コーチ、選手の表情を見たときに自分が負けた時の喪失感を思い出してしまいました。負けたら終わりというトーナメント方式の国際試合の難しさを、あらためて感じました」