「紙の雑誌であることに価値がある」
ーーどの出版社も紙の雑誌が売れないといわれる時代で、焦りはないのですか。
嵯峨 焦りはもちろんありますよ。出版業界全体が、右肩上がりの楽な事業ではありませんから、試行錯誤をしています。ですが、「紙の雑誌であることに価値がある」と考えていて、続けていくことを大事に考えています。
デジタルの普及によって、情報は飽和しています。だからこそアナログの体験や熱量の価値も上がっていることも感じるんです。
ゲームソフトはダウンロードで買われる方もたくさんいますが、一方でコラボカフェやポップアップショップは頻繁に開催されていて「物理的なものをみたい。手に取りたい」という欲望もあるじゃないですか。
紙の雑誌で特集をしてほしい需要も感じるわけで、ボリュームや観音開きのデザインで「楽しい」と思えるアナログな価値を提供する意義はあると認識しています。
ーー若者の雑誌離れが叫ばれて久しいですが、読者層の変化は感じますか。
嵯峨 厳密なデータではありませんが、以前に比べると読者の年齢層は上がっていて、30代~50代の男性が多いメディアという認識です。『ファミ通』をいろいろな層に読んでいただきたい気持ちはありますが、特定のターゲットを狙ったりはしておらず、「ニーズのあるエンタメコンテンツ」という軸で情報を届けることを大事にしています。
――編集部員の年齢層はどうですか。
嵯峨 意外に思われるかも知れませんが、若いスタッフもいて、彼らの提案した企画もたびたび実現させています。最近ですと、VTuberのインタビューやコラムはそうですね。
ーー手広くやっていますね。
嵯峨 はい。だからゲーム実況に人気が出たら、ストリーマー(配信者)の方にインタビューをしますし、ゲームから派生したアニメも取り上げることになります。それは昔の『ファミ通』から変わらないところです。結果的に読者に喜んでもらえるものを提案したいという考え方ですね。
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ネットの速報性に真っ向から挑むのではなく、「紙ならではの熱量と物理的なボリューム」で独自の価値を再定義した『ファミ通』。時代に合わせて形を変えながらも、ゲームファンが求めるものを愚直に作り続ける姿勢が、今の存在感に繋がっているのだろう。
後編では、ネット上で長年囁かれ続ける「クロスレビューの点数はお金で買える?」という黒い噂の真相から、メーカーを悩ませる「リーク問題」、そして日本のゲーム会社に迫る「中国産ゲームの脅威」まで、嵯峨編集長がゲーム業界の“今”と“リアル”にさらに深く切り込む。
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