「各メーカーから入手した内部資料を分析したところ、関西地方を中心に年間1億円以上が暴力団などの反社会的勢力に流れていたことが裏付けられた」
事件対応にあたった大手メーカーの代理人弁護士も、それを裏付ける証言をした。
「事業費の中からヤクザなどの関係企業に支払った記録がかなり出てきた。数千万円から多いものでは数億円。会社はその使途を国税当局にも明かしていなかった」
各プラントメーカーが汚泥・し尿処理施設を関西地方で建設する際にも、「サバキ」が必要だったことがうかがえる。
伝票の数字を実際の2倍に
水谷建設の脱税事件では、私が所属していた朝日新聞東京社会部でチームを組み、関空の造成工事を受注したゼネコン各社など多くの関係者を取材した。そのなかで、兵庫県の土木資材会社のX社長(当時)が、水谷建設だけに限らず、各社で暴力団などに裏金支出が繰り返されていた実態を証言した。
X社長は関空の一期の造成工事の下請けに入った際、「元請けに土砂を納入する取引では、元請けの指示で、ほぼすべての伝票の数字を実際に入れた量の倍にした」と不正な経理操作を行ったことを明かした。これらの取引では、元請け会社との間にペーパー会社をはさむ。元請けのゼネコン幹部から「支払いを多めに渡すから、この会社に売り上げをたててやってくれ」と言われたからだ。水増しされた売上金の一部がペーパー会社に流れて裏金化する。X社長に対し、元請けのゼネコン幹部は「地元対策として暴力団などに渡す必要がある」と裏金の使い道を説明したという。
「これが関西のサバキというものなんですわ」
※今も続いている「サバキ」の実態とは——。この続きで、さらに詳しく語られています。約8700字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』と『文藝春秋』2026年8月号に掲載されています(市田隆「ゼネコンと反社の癒着は終わっていない」)。
■市田隆(いちだ・たかし) 1964年生まれ。1988年読売新聞社入社。2003年朝日新聞社入社。司法記者クラブキャップや、調査報道担当編集委員を歴任。共著に『原発利権を追う』など
