北海道の丘に咲くラベンダー越しに、大仏の「頭」だけがにゅっと顔を出す――。そんな摩訶不思議な光景が実在する。
名建築の「もっとも美しく見える瞬間」を追い続けた写真家・高橋福生の著書『感動建築』(大洋図書)より、思わず目を奪われる3つの建築を紹介する。
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ラベンダーの丘でにゅっと頭を出す『真駒内滝野霊園 頭大仏殿』
北海道札幌市のラベンダーの咲く丘で、にゅっと頭を出す大仏。『真駒内滝野霊園 頭大仏殿』は安藤忠雄の設計で、参拝者は長いアプローチを通り、暗いトンネルを抜けることで初めてその全貌と対面する。天井に開けられた巨大な円窓から降り注ぐ自然光は大仏を神々しく照らし、季節や時間によって表情を劇的に変えるのだ。建築と自然、そして信仰が見事に融合した、まさに「大地に祈りを捧げる」ための空間は、訪れる誰しもが感動することだろう。
水面に鏡像を描く『ショウナイホテル スイデンテラス』
また、山形県鶴岡市にある『ショウナイホテル スイデンテラス』も素晴らしい。周囲の景観に溶け込むよう低く抑えられたシルエットが水面に鏡像を描き、建築そのものを田園風景の一部へと変えている。設計者、坂茂が得意とする木材の温かみと、素材の構造美を生かしたデザインは、現代的でありながらどこか懐かしい安らぎを感じさせる。
ホテルだから予約すればいつでも泊まれるが、最高の瞬間は、水田が水鏡となる初夏の夕景だ。建物から漏れるやわらかな光が水面に揺れ、地平線と溶け合う様子は言葉を失うほど美しい。


