「日本のガウディ」と呼ばれる建築家がいる。早稲田の街角にひっそりと佇むその建築は、初めて目にした者を言葉を失うほど驚かせる。東京にはほかにも、見る者の心を揺さぶる“感動建築”が点在している。

 日本全国の名建築を「もっとも美しく見える瞬間」に撮り続けた写真家・高橋福生の著書『感動建築』(大洋図書)より、知られざる東京の感動建築を3つ紹介する。

◆◆◆

ADVERTISEMENT

青空に映える“白銀の聖域”『東京カテドラル聖マリア大聖堂』

東京カテドラル聖マリア大聖堂(撮影:高橋福生)

 東京の感動建築は、まずなんといっても『東京カテドラル聖マリア大聖堂』が頭に浮かぶ。8枚の双曲放物面を垂直に立ち上げたフォルムは上空から見ると巨大な十字架を描き出し、内部空間は開口を抑えたコンクリート打ち放しの壁が天高く伸び、頂部の隙間からひと筋の光が降り注ぐ。祭壇中央に据えられた象徴的な窓には、イタリア産の黄色いアラバスター(雪花石膏)が薄くはめ込まれ、朝には太陽光を受けて淡い黄金色の輝きを増す。その光は沁み込むように場を満たし、祈りの中心に温度を与えるのだ。丹下健三設計による、まさに戦後日本建築の最高傑作の一つである。

さまざまな都市伝説も…『アサヒグループ本社ビル/スーパードライホール』

アサヒグループ本社ビル/スーパードライホール(撮影:高橋福生)

 また、バブル期に建てられた『アサヒグループ本社ビル/スーパードライホール』は誰もが知る浅草のランドマークだ。ビールジョッキを模した本社ビルと、その隣のスーパードライホール屋上に横たわる巨大な「フラムドール(黄金の炎)」の対比は、見る者に強烈な印象を残す。スーパードライホールを手がけたフィリップ・スタルクが描き出した黄金の炎は、アサヒビールの情熱を象徴しているという。ちなみに、「フラムドールは本来は縦に立てる予定だったが法規制で横向きになった」「本当は赤色になるはずだった」という都市伝説は広く知られているが、アサヒ側はその事実を否定している。