熊本地震の被害が広がっているが、他の地域はどうなのか。一都三県3800万人が暮らす首都圏では、これまで巨大地震が起こる可能性が指摘されている。

 国と東京都は「首都直下地震」と名付けて市民に万全の防災体制を整えるように呼びかけているが、首都直下地震がどこで、どのように発生するかについてはよく理解されていない。その理由は、地震を起こす「震源域」が首都圏の19カ所に広がり、それによって予想される災害も多岐にわたるからである。

 首都直下地震が地下で起きるメカニズムは、どのようなものなのだろうか。京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏による2023年の記事「首都直下地震とタワマン」から一部を紹介します。

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阪神・淡路大震災クラスの地震が起こる確率は……?

 そもそも地震は地下深くでプレートと呼ばれる厚い岩板が激しく動くことによって起きる。首都圏の下には3枚のプレートがひしめき合っており、世界的にも地震の起きやすい変動帯にある(図1-1)。

南関東地域で発生する地震の発生場所

 具体的には、首都圏は北米プレートという陸のプレート上に乗っているが、その下では南からフィリピン海プレートという海のプレートが沈み込み、さらにその下に東から太平洋プレートという別の海のプレートがもぐりこんでいる。

 こうしたプレートの境界が一気に滑ったり、また地盤が大きく割れたりすることで、6つの異なるタイプ(図1-1)の地震が発生する。これらをまとめて首都直下地震と呼んでいるが、起きる深さやメカニズムは多岐にわたるのである。

 国の中央防災会議はこうした地震はどこでどのように起きるかを具体的に予測してきた。首都圏を襲うマグニチュード7クラスの大地震は、大きく分けると3種類ある。なおマグニチュード(以下Mと略記)とは地下深部で発生する地震のエネルギーを表し、数字が1違うごとに32倍のエネルギーの差となる(鎌田浩毅著『地震はなぜ起きる?』岩波ジュニアスタートブックス)。

 まず1つ目が大田区地下を震源とする「都心南部直下地震」など、都心を震源とする直下地震であり、M7.3という最近の日本列島で経験した最大値が想定されている。

 例えば、1995年に神戸で発生した阪神・淡路大震災はM7.3で6400人以上の犠牲者を出した。

阪神・淡路大震災クラスの地震発生率は70%  ©時事通信社

「都心南部直下地震」では最大震度7の揺れが起きる。なお、震度7とは気象庁の定めた震度階級で最大のもので、阪神・淡路大震災のほか新潟県中越地震(2004年)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)などでも記録され、いずれも多数の死者を出した。このような地震が今後30年間で起きる確率は約70%と予測されている。