日曜劇場(TBS系日曜21時枠)の『VIVANT』第2シーズンが、前評判通りの人気ぶりで大きな注目を集めている。日本政府が2013年12月の答弁書で「これまで自衛隊に存在したことはなく、現在も存在していない」と否定した『陸上幕僚監部運用支援・情報部別班』をモデルにし、世間の「スパイへの好奇心」をかき立てていることも、人気の一因かもしれない。

 しかし、実際の「別班」を知る複数の元自衛隊関係者によれば、組織自体は存在するものの、その実態はドラマと異なるのだという。主な仕事は現地協力者(エージェント)を使って海外の情報を集める「コントローラー」としての役割。彼らは非公然組織に属しており、日本政府の保護が期待できないため、別班員自らが海外で活動することは想定されていない。また、身分を秘匿する必要があることから、自衛隊の駐屯地や基地に出入りすることはなく、隊員に課される定期的な射撃訓練なども行っていないという。

写真は「VIVANT」公式サイトより

『VIVANT』を彷彿とさせる工作機関の暗闘

 別班は『VIVANT』とはかけ離れた存在だ。しかし、海外にはVIVANT顔負けの活動をする情報組織もいくつかある。ドラマでは、VIVANTと国際テロ組織「テント」との争いが描かれているが、これによく似た構図が、韓国と北朝鮮の情報工作機関による暗闘だ。基本的に一般の目に触れない水面下の世界で暗闘が繰り広げられているが、これまで公然化した事件もいくつかある。

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 1983年10月の「ラングーン事件」(北朝鮮工作員が韓国の全斗煥大統領〈当時〉の暗殺を狙い、ビルマ〈現・ミャンマー〉のアウンサン廟で起こした爆弾テロ)や、1987年11月の大韓航空機爆破事件などだ。

 近年では、韓国系米国人の金東哲氏の事例もある。北朝鮮の羅先(ラソン)でホテルを経営していた金氏は、2006年ごろから中国・吉林省延吉市の自宅に戻るたびに、韓国の情報機関「国家情報院」の要員から接触を受けるようになった。2009年から2010年ごろ、延吉市の自宅にソウル行きの航空券が届き、ソウルに向かうと国家情報院幹部から「何とか助けてほしい」と情報収集を依頼され、カメラが仕込まれた腕時計、超小型の望遠鏡、10~15メートル離れた人の会話も聞こえる通信機器など「スパイ道具のセットのようなもの」(金氏)を渡された。「第三者に見せず、必要な時以外は使うな。万が一見つかったら、USBだけは絶対に処分しろ」と念を押されたという。