東京・狛江市の強盗殺人事件をはじめ、SNSの「闇バイト」で集めた若者を使い日本中を震撼させた「ルフィグループ」。長年、ビジネスライクに特殊詐欺で荒稼ぎしていた彼らは、なぜ極めてリスクの高い「強盗殺人」にまで手を染めることになったのか?
『檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち』(講談社)を上梓したノンフィクションライター・栗田シメイ氏の徹底取材で明かされたのは、実行役を「人間とすら思わない」冷酷すぎる実態と、彼らが凶行へと転落した“あまりにも身勝手で呆れる理由”だった。(全2回の2回目/はじめから読む)
(初出:「文藝春秋PLUS」2026年7月8日配信)
2023年1月に東京・狛江市で起きた高齢女性の強盗殺人事件。SNSの「闇バイト」で集めた若者を使い、「ルフィ」などと名乗る幹部がフィリピンの収容所から実行役に指示を出していたと判明し、日本社会に大きな衝撃を与えた。
しかしなぜ、ビジネスライクに特殊詐欺を行っていた「ルフィグループ」が、強盗・殺人にまで手を染めるに至ったのか。その理由は、報道が伝える「凶悪犯罪への進化」という構図とは全く異なるものだった。
「かなり自分勝手な理由です」
栗田氏は断言する。「強盗に手を染めた理由は、自分たちの逃走資金を得るため。かなり自分勝手な理由です」。
フィリピンで月2000万円以上の収入を得ていた彼らは、現地当局に拘束されビクータン収容所に収監されたことで、資金源を一気に制限される。一方で収容所は、賄賂さえあればエアコン付きの部屋やフードデリバリー、スマートフォンまで入手できる環境だった。
彼らは、韓国系グループが賄賂を使って収容所から国外逃亡した事例を知る。偽造パスポートや賄賂のためのまとまった「逃走資金」が必要になり、詐欺が制限される中で「ルフィグループ」が選んだ手段が「強盗」だったのだ。
