文春オンライン

紙面で追う 総裁選「カツカレー食い逃げ事件」が大事件になるまで

笑うに笑えなくなってきた、その「4皿」のゆくえ

2018/09/28
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読売社説がまさかの……

 ではさっそく読売を調べてみた。すると、

《自民党総裁選で連続3選を果たした安倍首相は、党員票を中心に石破茂・元幹事長の健闘を許した。》(9月21日)

 同じ日の別の政治面には、

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「石破氏健闘『次』狙う」

「石破陣営の処遇焦点 健闘踏まえ起用論も」

 ほんとだ。読売は「善戦」ではなく「健闘」だ!

 1面にある政治部長のコラムにも「見せ場は、石破茂・元幹事長の健闘だ」とある。読売は見事に「健闘」で統一されていた。まるで「石破、善戦」は禁句のようにも思える。

 しかし……。

私の目は社説に釘付けになった。この日の読売社説を読んでみたら、

《石破茂・元幹事長は地方や中小企業重視を掲げ、善戦した。》

ああああ! 普通に「善戦」と書いてしまっているではないか。政治部の努力が台無し。ああああ!

「善戦」した石破茂氏(左) ©AFLO

 おそらく政治部内では「健闘」で統一していたけど、社説を書く(もっと上の)おじさんは偉くて自由だから自然の感覚で「善戦」と書いてしまったのだろう。新聞だって中の人はたくさんいるのである。

石破茂は「善戦」と言えるのかどうか問題

 石破茂は「善戦」か「健闘」か。

 ここで中立風にみえる日本経済新聞をみてみよう。参考になるのは総裁選2日前のこの記事だ。見出しには、

「『石破氏200票』巡り神経戦 」

「首相陣営、250票阻止へ全力」

 とある。

 ポイントを抜粋する。

《首相陣営は、地方票の得票率で70%を取らなければ石破氏の200票獲得が現実味を帯び、55%を下回れば、石破氏が250票を上回る事態にもなりかねない。陣営では、都道府県ごとに責任者を務める議員を決め、秘書らを動員して地元の党員らに支持を呼びかける電話をかけ続けている。》

《55%を目標とすれば、石破氏が250票を超える最悪の事態は防げるうえ、高すぎる期待に対して結果が水準に満たず、勝利ムードに水を差すことも避けられるためだ。》

 つまり安倍陣営は地方票の目標得票率を70%から55%まで下げ、石破氏が(国会議員票と合わせ)200票をとれるかどうかが大注目となった。