単純な偏差値では智辯和歌山が最上位だが、スポーツコースに限ると…?

 かつての「野球強豪校」で、今では「難関大学進学」でも名前が出てくる私学はたくさんある。しかしそれを聞いて「文武両道の指導をしているのだな」と思うのは早計だ。前述したように今どきの私学は、野球などスポーツに打ち込む生徒と、受験勉強に打ち込む生徒を、全く別の選考過程で入学させている。これを「文武別道」という。

 筆者はこの手の「強豪私学」に行くことがしばしばあるが、同じ学校内にあって教室も違うし、教える教師も違っている。そもそも生徒の体格が違う。まるで別の学校の高校生に見える生徒が、同じ学校内に「同居している」印象だ。野球部員は「寮生活」のことが多いので、生活も異なっている。

「文武別道」の現状を考慮せずに、高校単位で偏差値を出すと、ずいぶんおかしなことになる。今夏でいうと偏差値上位5校はこんな感じだ。

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今年の夏の大会に出場した中でもっとも高い偏差値を誇る福岡の東筑高校 ©時事通信社

 なお、偏差値は「受験専門サイト」の発表を参考にした。絶対的な数値ではなくあくまで「参考」だ。

1位 智辯和歌山(和歌山)73
2位 東筑(福岡・公立)70 
3位 佐野日大(栃木)69
4位 立命館宇治(京都)66
4位 履正社(大阪)66
4位 沖縄尚学(沖縄)66

 甲子園常連私学の名前がずらっとならぶ。しかし2位の東筑、4位の立命館宇治を除く4校の偏差値は、野球部とは別のコースの実績だ。この数字を見て「あの高校は野球も勉強も強いんだ」と思うのは、ずいぶん表層的だといえよう。

 では、野球部員が主に所属している「コース」だけに限定すればどうなるのか?

1位 東筑(福岡・公立)普通科 70
2位 立命館宇治(京都)普通科 66
3位 横手(秋田・公立)普通科、理数科 61
4位 札幌日大(北海道)総合進学コース 53
4位 智辯和歌山(和歌山)普通科スポーツコース 53

 福岡県立の東筑高がトップに躍り出る。イチローの恩師として有名な仰木彬の母校でもあるなど野球の名門校でもあるが、福岡県ではトップクラスの進学校だ。