「すごく心をつかまれました」先生がたばこをふかしながら言ってくれた言葉とは
――作品を仕上げたら真崎先生が、いろいろ指導してくれるわけですか。
恋池 「出来上がった順から持ってこい」って。先生は教室じゃなくて、ベンチが置いてある外の喫煙所でたばこをふかしながら見てくれるんですけど、「お前の漫画はここがとってもいいところだ。俺はお前の最初の読者で、ファンだからな」って言ってくれて。
多分私以外のみんなにも同じことを言ってたと思うんですけど、それですごく心をつかまれました。
――ガッと心をつかまれた先生は真崎先生だけですか。
恋池 モチベーションを上げてくれる先生は他にもいましたけど、普通の先生だと、自分の経験をしゃべるんですね。
一方で真崎先生は、もちろんキャリアも経験もたくさんあるんだけど、それを一旦脇に置いて、目の前の生徒が今どの段階にいて、どういう環境の中でやっているのか、漫画を見て見抜くっていうか。
「クセの強いアニメーターさんたちを立てたり…」先生の“人をやる気にさせる術”
――ははあ。
恋池 例えばちょっとプライドが高い子だと作品もそういう風に歪むけど、先生はその歪みが作品から見えるみたいで。
で、この生徒はちゃんと話を聞けると判断したらアドバイスするし、ちょっと無理そうだなと思うと、とりあえず褒めてどんどん描かせて。
中には対人恐怖症で学校に来るだけで精一杯っていう子もいたんですけど、そういう子には、「来てくれてありがとう。無理せず、辛かったらいつでも帰っていいからな」みたいな声がけをしてましたね。
――生徒の特性を見抜いて、活かして、前を向かせる。指導者としてピカイチといいますか。
恋池 先生は1960年代に虫プロ(編注:手塚治虫が創立したアニメ制作会社)に制作担当として入ったそうなんですけど、そこでクセの強いアニメーターさんたちを立てたり、発破をかけたりしながらどうにか毎週仕事を回していたようで、“人をやる気にさせる術”みたいなのが身についたと、後に聞きました。

