「ほら、ここがコマを割るところだぞ」先生が“体で教えてくれた”こと
――じゃあ、恋池さんも他の卒業生同様に卒業後も交流が続いて。
恋池 卒業後も漫画を見てもらおうと先生のもとに行ってたんですけど、漫画はもはや口実で、とにかく会いたいなって。作品も見てくれるけど、そこから広がる話とかが楽しかったんです。
――真崎先生は話題も幅広いんですか。
恋池 真崎先生の漫画って独特のコマ割りで、それが心地良いんですけど、だんだん先生の会話が漫画のコマ割りとリンクしてることに気がついて。
たとえば、先生がバーッと話しているのを「うんうん」って大人しく聞いてるんですが、山場にさしかかった時に「『なんで?』って聞いて」って言ってくるんですよ。
――合の手を求める。
恋池 そうそう。「このタイミングで『なんで?』って挟んで」と言われるんですけど、それが漫画のコマ割りのリズムと一緒で、脇役が「それはなんでなの!?」って言うタイミングなんですよ。「ほら、ここがコマを割るところだぞ」って、体で教えてくれてるようでした(笑)。
――先生に会いに行くと、いつもどれぐらいしゃべっていたのですか。
恋池 4時間とか。ほぼ先生が一方的に喋ってるんですけど。
――それはすごいですね。
恋池 学生のときも「漫画のここが分かんないんです」って先生に電話をかけたんですけど、あまりに長電話すぎるから、「お前の先生はおかしいっ!」と、家族から怒られました。
「迷ったら自分の心に聞け」今でも活きている教え
――真崎先生からのアドバイスで、今でも活きている教えってありますか。
恋池 「迷ったら自分の心に聞け」っていうのは一番大事にしてますね。
忙しくて自分を見失った時、その言葉でまた自分を取り戻す感じです。まあ、そもそも先生の介護が多忙を極める根源なのですが(笑)。
――卒業後、真崎先生との関係に変化はあったのでしょうか?
恋池 とにかくずっと、「こんなにたくさんの人を幸せにしてる先生が1人で死んでいくのはおかしいっ! 私が看取る!」と謎の使命感だけはあったんです。
それで卒業後、先生には何も言わず、勝手に先生の家のそばに引っ越しました。
撮影=佐藤亘/文藝春秋
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