「全否定もありました」“死にたくなった”先生からの指摘
――ひとまず生徒のことは全肯定なんですか。
恋池 全肯定もするし、全否定もされました。
――あ、全否定もある。
恋池 うん、全否定もありました。死にたくなりました。
――例えばどういうことを言われるんですか。
恋池 「このキャラクターの気持ちが描けないってことは、お前がこの20年間、そういう生き方しかしてこなかったからだ!」みたいに言われて。立ち直れなくなりそうになったこともありました(笑)。
「女子生徒がたくさん先生に頭を預けに来てました(笑)」
――でも、真崎先生のことを苦手になったわけでもなく。
恋池 それはそうですね。たぶんほとんどの生徒が、厳しさの奥にある愛みたいなものは感じてたんじゃないかな。作品を持って行くと、「よくやったな」って、頭を撫でてくれるんですよ。
頭を撫でるとか今だとセクハラに捉えられるかもしれないですけど、真崎先生の場合、その時すでに60歳くらいのおじいちゃんだったこともあって、「人畜無害」っていう感覚がみんなにあったんでしょうね。とにかく人気があって、女子生徒がたくさん先生に頭を預けに来てました(笑)。
――女子生徒から人気だったんですね。
恋池 人気でしたね。卒業生もしょっちゅう先生に会いに来てて、毎週のように学校に来てる人もいました。
――卒業生は、漫画のアドバイスを求めて真崎先生のもとに来るわけですか。
恋池 そうそう。それにやっぱり、漫画の世界って厳しいじゃないですか。「編集さんにこんなことを言われて……」とションボリしてても、先生に会うと、「またやる気になりました!」ってパァーッとなって帰っていくんです。
「女が“好き”とか“嫌い”で動かないでどーする!」
――学生時代は、あくまで真崎先生のことは良き指導者として見ていた感じで。
恋池 今も「先生」っていう感じではあるかな。恋とか愛とかいう境目がちょっといまだによく分かんないですね。
漫画家さんのアシスタントで入っていた現場で、いつも私の頭を「ポンポン」ってして立ち去っていくおじさんアシスタントがいて、私はそれがすごく嫌だったんですよ。
――それは誰だって嫌ですよ。
恋池 でも、先生に頭を撫でてもらうのは嬉しかったから、「あたしってひどいヤツなのかなあ」と思って先生に相談したら、「女が“好き”とか“嫌い”で動かないでどーする! そんなんだから感性が鈍るんだ!」と一蹴されました(笑)。

