周囲から「旦那が死んだら次に結婚してくれ」と言われたことも…
――立場の差を重荷に感じることは。
恋池 全然重荷には思ってなくて、むしろ誇らしいっていうか。
「誇らしい」って言うと聞こえはいいですけど、無名だった自分が“真崎守の妻”という立場を得て、居心地の良さを感じたこともあったんです。
でも、人のふんどしで相撲を取るようなことは恥ずかしいことだとどこかで感じてたし、だからこそ自分は自分の場所でちゃんと漫画を頑張らなきゃ、となりましたね。
――先生と結婚した際、周囲の反応はどんな感じでしたか。
恋池 「あなたならあるかもね」みたいな感じだったかな。あ、漫画家の同僚の人からは「財産目当てなんじゃないの」なんて冗談で言われたりしましたけど。
あとは何人かから、「旦那が死んだら次に結婚してくれ」って言われました。
――先生にも周囲のリアクションは伝えました?
恋池 「アプローチしてきたヤツは全員キープしておいて、俺が死んだ後、一番良いヤツとここに住め」って言ってました。なんでここに住まなきゃいけないんだって感じですけど(笑)。
――「俺がもし先に死んだら」みたいな話は自然と出るんですか。
恋池 ちっとも「もし」じゃないと思うけど(笑)、まあ、してましたね。「好きな男ができたらちゃんと言いなさいね」とかも言ってました。
「ここに来るな」真崎先生との最大の喧嘩
――これまでで最大の喧嘩ってありますか。
恋池 一緒に住む前に、「ここに来るな」って言われたことがあって。「俺といることでお前は全部分かったような気になっている」と。たしかに私も、もう自分の力でできるのに、仕事のプレッシャーもあって、先生に会いたいだけで話を聞きに行ってたところはあって。
「それが何週間後なのか、何年後かになるか分からない。また会える機会があったら会おう」と言われて、私も覚悟して自分の仕事を頑張ろうと思っていたら、3日後ぐらいに「差し入れだ」って先生がおでんを持ってきたことがありました。
――先生も会いたかったんですかね。
恋池 こちらとしてはお別れを覚悟したのに、先生はまるで「そんなこと言ってない」みたいな顔でやって来ました。そのときすでに認知症だったのかしら(笑)。
撮影=佐藤亘/文藝春秋
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