認知症になった先生のことを「ずっとかわいい」と思う理由
――そうですか。
恋池 でも、買い物に一緒に行って「かご持っててくれる?」とかって言うと、私の後をついて来てくれるから、「いつも一緒にいる人なんだ」っていう認識はあるんです。
今、しゃべってて思いましたけど、結婚する前のわたしたちの状態と同じなのかなって。
――漫画の専門学校で会ったときから、「ただ一緒にいる」という状態と同じ?
恋池 「恋人」になりたいとか「結婚」を求めていたわけでもなくて、お互いただただ「なんとなく一緒にいる人」っていう認識だったので、振り出しに戻ったというか、やっぱりお互い、何も変わらなかったんだと思いますね。
――先生は口調などは変わらないですか。
恋池 変わらないですけど、もう喋るってほどでもなくて、3歳児ぐらいの感じです。それもあって、ずっとかわいいですよ。
私が漫画を描いてるときも近くに寄ってきて、私の絵を指さして笑うんです。
「前からピュアなんですけど、さらにピュアになっている」
――それまでは「かわいい」部分が見当たらなかったですか。
恋池 昔はほんと見た目もヤクザみたいでしたし、実際怖かったし、「かわいい」なんてことは一切言われなかったですね。
先生の昔の写真を見ると、アニマル柄の服を着てるし角刈りだし。怖すぎてこんなとこにアシスタント行きたくない、私(笑)。
――介護が大変で、真崎先生に声を荒げてしまうことは?
恋池 ほとんどないかもしれない。だって、なんもわかんない赤ちゃんと一緒ですから。
――恋池さんの漫画でも、先生の瞳が認知症になってからどんどんつぶらになっていってますよね。
恋池 前からピュアなんですけど、さらにピュアになっているというか(笑)。先生は何でも自分のやりたいようにやってきたから、腹に何もたまってないんだと思うんですよね。“かわいく老いる”って大事だなって思いますね。

