夏の人気商品といえば、うなぎです。うな丼セットは1100円、海老天を付けると1200円。ゆで太郎では最も高価格帯の商品ですが、「プチ贅沢」として位置付けています。

2026年も値上げはせず、昨年と同じ価格で販売します。さらに7月は金曜日の「得ランチ」に採用し、よりお得な価格で提供しました。

「売り切れごめん」覚悟で仕入れをする

実は、勝負は販売前から始まっています。うなぎは2月の段階で仕入れを決めます。桜海老も約6トンをシーズン前にまとめて確保します。売れなければ、そのまま在庫リスクになります。

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それでも、私たちは売り切れを恐れて大量に追加生産することはしません。最初から「数量限定」「売り切れごめん」とお伝えしています。一昨年までは土用の丑の日に売り切れる店舗もありましたが、それはそば屋だからできることです。うなぎ専門店なら大きな問題になるでしょうが、私たちにとってうなぎは、日頃の感謝を込めた季節限定のサービスでもあります。

「今日はまだ残っていた」で得る満足感

こうした商品は原価率だけを見ると決して優秀ではありません。しかし、経営は原価率だけで判断するものではありません。

飲食業で本当に見るべき数字は、粗利益高です。

原価率は高くても、1杯あたりに残る利益額は十分に確保できます。最終的に人件費や家賃、光熱費をまかなって会社が利益を残せるのであれば、それでいい。一品ごとの原価率だけで良し悪しを判断するものではないのです。

今回の得ランチに向けては、うなぎをさらに4トン追加で仕入れました。それでも「売り切れごめん」という考え方は変えません。

いつ行っても必ずある商品より、「今日はまだ残っていた」という体験の方が、お客様の満足につながることがあります。限定だから食べたくなる。売り切れる可能性があるからこそ価値を感じる。その期待感まで含めて商品なのです。

機会損失を恐れて在庫を積み上げるより、期待値を高める仕組みをつくる。その方が、お客様にとっても、私たちにとっても、長く愛される商売になると信じています。

まとめ
機会損失よりも、お客様の期待値を高める

池田 智昭(いけだ・ともあき)
ゆで太郎システム社長
1957年生まれ、東京都出身。明治大学文学部卒業後、1980年にほっかほっか亭FCオーナーとして独立。1984年にFC店オーナーを辞め、ほっかほっか亭入社。フランチャイズ本部の社員になると、スーパーバイザーとして手腕を発揮。多くのオーナーを支援してきた。2004年ゆで太郎システム設立。「カンブリア宮殿」(テレビ東京系)「がっちりマンデー‼」(TBS系)出演でも話題。
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