「ミラクルが起きるかも」期待で使い果たした貯金
――体外受精で使った総額はいかほど。
こりんご 600万円くらいですかね。年齢的にあまり効果がないと言われて、排卵誘発剤(卵を育てる薬)をほとんど使わなかったので、これでも抑えられた方だと思いますが、日本にいたときに貯めていた貯金をほとんど吐き出しちゃって。
――卵子が取れているとやめ時も難しいというか。
こりんご 一応、48歳の誕生日までと線引きはしていたし、「45歳で自己卵を使って妊娠することは奇跡みたいな確率だから」とドクターにも言われてたけど、どこかで「自分だけは特別で、そのミラクルが起きるかも」と謎の期待を抱いていたんですよね。
当時はフルムーンとニュームーンのときにパワーウィッシュとかをしてて。「赤ちゃんを授かりました! ありがとうございます!」「来月、妊娠することを意図してます!」とかって、本気で書いてましたから。でも、引き寄せメソッドをやっても宇宙に祈っても赤ちゃんは来ないわけですよ。
そうして48歳の誕生日が近づくにつれて、なぜか卵子提供のドナーさんのリストをチェックしたり、費用とかも調べだしている自分がいて。
遺伝子を残したいんじゃなくて「自分の子宮を使いたかった」
――自分のDNAを残すことにこだわらなくなっていった?
こりんご ずっと自分の遺伝子を残したいと言ってたんですけど、本当は自分の遺伝子を残したいんじゃなくて、自分の子宮を使いたかったんじゃないか、と思い出したんですね。
――さきほど「一度は自分の子宮に子どもを宿してみたい」みたいなことを話されていましたよね。
こりんご 27歳で初めてニューヨークに来たときに「あ、ここに住まなきゃ」ってひらめいたのと同じ感じで、昔から、ものすごく子供好きってわけでもなかったのに子供を欲しいと思っていたのは「この子宮を使って赤ちゃんを宿す経験をしないまま死んでいいのか」と思っていたからで、今思えば、たぶんそのことを思い出して、それでパッと決断できたんだと思うんですよ
そこからは「卵子提供でいきます!」と、一気にシフトして。奇跡を待つのはリスクが大きすぎるし、ミラクルを待っている時間もない。宇宙に祈っている場合じゃなかったんです。
知識不足で40代半ばからの不妊治療に時間も大金もはたいてしまって、周りからは「そんな確率の低いものに時間も大金もはたくなんて」とか、「結局、卵子提供を受けるんだったら、最初からそうすればよかったのに」と言われることもあるんですけれど、その無駄と思われる自己卵での体外受精をしなかったら、もしかしたら自己卵で妊娠してたかもしれないのにって後悔が残るでしょう?
だから、一見無駄だと思われる自己卵での不妊治療も、後悔なくやり切ったから次の卵子提供に進めたんだと思います。全てのことは無駄なんかじゃなくて、あれがなかったら卵子提供に即シフトできなかったなとも思ってます。
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