もしも娘が透明人間だったら……? SFのような題材を通して、父と娘のすれ違いや家族の絆を描く映画『見えない娘 THE INVISIBLES』。

 生まれつき透明人間の末娘を心配するあまり、空回りしてしまう父・星野学を演じた毎熊克哉さんに、見えない相手と演じる難しさや、撮影現場で育まれた“家族”の関係について聞きました。

毎熊克哉 ©釜谷洋史/文藝春秋

◆◆◆

ADVERTISEMENT

親になった経験がない自分にやれるのか

──オファーを受けた決め手はどこでしたか?

毎熊克哉(以下、毎熊) 「透明人間を娘にもつ父が、三姉妹を連れて旅に出る」というストーリーは、一見奇想天外なロードムービーのように思えます。でも、脚本を読んでみると、描かれているのは、娘を心配する父親と、父の庇護から離れていこうとする娘たちの関係です。設定は奇抜ですが、その根底にあるのは普遍的な家族の物語で、純粋に面白いと思いました。

 親になった経験がない自分が、3人の娘をもつシングルファザーをやれるのか、という不安はありましたが、これまでやったことのない役どころへの魅力も感じ、お受けしました。

©THE INVISIBLES Production Committee

──最初から最後まで、毎熊さんの眉毛が八の字になっていたのが印象的でした。「理屈っぽくて心配性」という父・星野学を、どう役作りされたのでしょうか。

毎熊 撮影に入る前に、竹林(亮)監督から、A4用紙4枚くらいにびっしり書かれたキャラクターの履歴書みたいなものをいただいたんです。「すごく心配性で、いつも眉間に皺が寄っている」と説明されていて、なぜそうなったのかという経緯もしっかり書かれていました。

 脚本にも「学はずっとしかめっ面」と書いてあったので、まずはその表情から入りました(笑)。

 役作りをするときに、僕はいつも、「現実に置き換えたら」ということを考えます。もし僕に娘がいたら、と考えてみると、世代も性別も違う娘のことを完全に理解することは、不可能だと思います。さらに、透明人間として生まれた末娘・ひかりのように、周囲から理解されにくく、社会の中で生きづらさを抱えやすい子がいたなら、どうしても心配してしまうと思います。そう考えると、姿が見えず、すべてを理解することもできない我が子が、危ない目に遭わないように、嫌な思いをしないように守ってあげたい。そう心配し続ける学の気持ちにも、自然と近づくことができました。

©THE INVISIBLES Production Committee