撮影の合間に一度だけ父に電話をかけて…

――2024年には日韓合作ドラマ『彼女のいない時間』に出演しましたが、大変だったそうですね。

天翔 それまで経験した現場とは全然違いました。まず、私が入った現場は、監督さんを含めて日本人が3名くらいしかいなくて。プロデューサーさんは日本の方で、ほかは全部韓国のスタッフの方でした。撮影自体も韓国で行われたので、環境も全然違いますし、飛び交う言語も日本語ではないので、そういった面での不安もすごくありました。

©釜谷洋史/文藝春秋

 一番違うなと思ったのは、長回しがすごく多いことです。日本は結構カット割りが多いですが、そうではなくて、一番長いシーンだと10分くらいずっと長回しをしていました。

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――それは緊張感がありますね。

天翔 1回間違えたら、また最初から撮り直しなんです。相手の韓国の俳優さんも日本語での長いセリフもあって。私も間違えられないプレッシャーがありますし、カット割りがないので、集中力をずっと高め続けていないといけない。一瞬でも気を抜くことができない、そうしたさまざまな緊張感がありました。今まで自分がやってきた仕事の中でもかなり過酷でした。

――そういう時に、お父さんに弱音のようなものを言ったりはしなかったんですか?

©釜谷洋史/文藝春秋

天翔 弱音は言わなかったです。私は1回やると決めたら、やり通す性格でもあります。でも一度だけ、海外から夜中に父に電話をしたことがありました。そうしたら、久しぶりに父の愛情のこもった声を聞いて、涙がうわーっと出てきてしまって、ボロボロ泣いてしまって。

 父は「本当に頑張っているよな」「自分らしくやればいいんだよ」と言ってくれたんです。シンプルな言葉なんですけど「そうだ、自分らしくいていいんだ」と、その言葉で元に戻れました。父の言葉で緊張感から解放され、それが韓国での撮影を乗り越える心の支えになりました。

――韓国で撮影をやり遂げた後は、自分でも少し成長したかなというふうに感じますか?

天翔 感じました。父にも久しぶりに会ったときに、「目が変わったね。相手を真っ直ぐ見る、自信に溢れたすごくいい目になったね」と言ってもらいました。

©釜谷洋史/文藝春秋

――そういう点に気づくのは、さすが藤岡さんですね。

天翔 父は相手の顔をしっかり見るんですけど、その分変化にはすごく気づいてくれるんです。自分の中でもそこまで真剣に向き合って、過酷な撮影も乗り越えたことがその後の自信にもなりましたし、自分の中でも成長できたかなと感じた現場になりました。

次の記事に続く 「真っ暗な廃墟の地下で縛られて」父の改造シーンを55年後に再現…藤岡弘、の次女・天翔天音(21)が明かす「仮面ライダー」継承の“過酷な現場”

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