――えっ、そんな強い武器なのに、ですか?
山崎 大学受験をしたのは、「自分が好きな勉強を手放してしまっていいのか」と考えたからです。中学受験をした時から大学は行く前提だったよね、という考えもありましたし、学ぶことが好きなのに行かないのはどうだろう、と。信頼できる周囲の大人からも「経済的にも成績的にも受験できるだけの力があって、自分が学びたいことがあるなら、やったほうがいい」というアドバイスをいただいたので、以前読んで面白かった本の著者が授業を持っていたSFCを目指すことにしました。でも当時は確かに特殊だったとは思います。グループ在籍中に受験勉強をして、かつ大学へ通いながら活動を続けたので。
――そこで難関の慶応SFCにしっかり合格してしまうというところが、山崎さんのすごさという気もします。今回の書き下ろしエッセイ本にも、「我ながら本当に全部この30年足らずで起きたことなのかと疑うほど濃密で、何も事件が起こらなかった年がないことに気がついた」とお書きになるほど、努力も葛藤も“事件”も盛りだくさんの人生ですよね。常に何かを考えながら頑張っている高学歴女子によくある、“情報が多い”感じというか……。
山崎 私という人間がどういう経緯でこの仕上がりになったのかを分かっていただけるよう、幼少期から現在までのエピソードの山をどのまとめサイトよりも詳しく正確にまとめたので、皆さんに読んでいただけるとうれしいです。もともとひとりっ子で人見知り、子どものころはいまより神経質で、クラスメートや大人にどう思われるか気を配って疲れてしまう。繊細というか“気にしい”というか、自意識がちょっと強くて。外で鬼ごっことかをするような子どもではなく、家の中で常に何か読んだり見たり。凝り性で、偏ってましたね(笑)。
父と「学年2位以内に入れるなら」と約束して私立一貫校へ
――DSゲーム『おいでよ どうぶつの森』で社交性を学ぶくだりは、山崎さんの人格形成のプロセスを垣間見るようで、最高に面白かったです(笑)。その後、小学校という場所に馴染めず、4年生ごろからしばらく不登校気味になるけれど、それでも自分で戦略的かつ“合法的”に学校での避難場所や居場所を作り、勉強で自衛するようになっていきますよね。そこで地元の公立中には進まないという選択をして、一般的にはスタートの遅い小6夏に中学受験を決意されるわけですが、ただならぬ結果を出してしまうところがすごい。
山崎 もともとは自分の人生にそんなにやる気のない小学生で、短いスパンでのやりたいことはあるけれど、長期的に何になりたいかとか、どこの学校に進みたいとかのビジョンは全くないし、塾にも行こうとしない。でも地元の学校に戻って再び同級生と生活を共にするのは考えられなかった。だから「受からなかったら生きていけない」くらいの覚悟で退路を断って、都立の中高一貫校を第一志望にし、駆け込みで受験勉強を始めました。

