――大人気の都立は残念ながら不合格でしたが、滑り止めの私立一貫校では特進クラスに見事合格します。でも初年度の授業料免除対象となる上位4位以内ではなかったということで、お父さんに「進学してもいいですか」と泣きながら必死に電話する。そこでお父さんには、なかなか厳しい言葉をかけられましたね。

山崎 父は、「学年2位以内になれば来年度から授業料免除になるから、2位以内に入れるなら進学してもいい。中高6年間私立だとお金がかかるから、大学は国公立か早慶じゃないと学費は出さないので、そのつもりで頑張って」と。出してもらえるのが当たり前だと思うなと。ひとりっ子ではありますが、幼い頃からお小遣い制でしっかりお金の管理を教えられていたので、お金に対する価値観が育っていました。学費の明細を見て、その額にびっくりして。子どもの感覚では、それまでの人生で最高額の買い物みたいなものですよね。両親には、「これを出していただけるんですか」みたいな気持ちでいました。

©山元茂樹/文藝春秋

欲しいものがあればプレゼン、子ども扱いはしない家庭環境で育った

――精神年齢の高いお子さんだった、山崎さんならでは。とはいえ弱冠12歳で、まさに「賭け」と呼べる決断を求められた。お父さんもなかなかのギャンブラー気質というか、一人娘を煽りましたよね(笑)。いまから振り返るとどう受け止めていますか。

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山崎 たしかに、無茶言うなあとは思っていましたけど(笑)。でもそれを告げられた時から大学受験までは6年あるんで、子どもの時間感覚では「6年、長っ」って。それだけあれば人間どうにでもなると思って、ハイと言っただけなんです。結局は私立の学費も払ってくれると言ってるし、父には、私という娘はふっかけたら本当にやるかもしれないって思われてるんじゃないかな(笑)。

――きっと、学ぶことや結果に向けて頑張ることへの価値観が近くて、相性のいい親子関係でいらっしゃるんですよね。

山崎 お尻を叩いてもらって、結果的には良かったです。私は、父とは性格がそっくりで、母は真逆。でも筋の通っていないことは言わない両親で、小さいころから私にも大人扱いをして理由の言語化を求めてきました。何か欲しいものがあっても、「なぜ欲しいのか」をプレゼンして納得させることができなければ手に入らない、もしくはお小遣いを貯めて自分で買いなさい、という幼少期だったので、そのスキルがいまの仕事にも繋がるという(笑)。大人を舐めてない子ども……そうですね。子どもが大人を舐めなかったのは、その逆もなかったからかもしれません。

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