山崎 私は過去に執着がなくて、懐かしい話にときめいたことはあまりないし、自分の人生を肴に飲めるほどは興味がなかったけれど、それだけ興味を持っていただけるということは本にいったん残した方がいいのかなって。自分の記憶力を過信していなくて、きっと昔のことはどんどん忘れていくだろうなと思ったので、忘れる前に書きました。

「人生はRPG、『どうにかするゲーム』なんだと思っている節はあります」

――華やかそうに見えて、地道にコツコツと努力を続ける山崎さんの受験観やキャリア観に共感する読者が、世代を問わずたくさんいらっしゃると思うんですよ。その中での周囲との距離の取り方や、自分を飼い慣らす、自分との付き合い方を知るという葛藤なんかは、特にいま仕事をする女性には共通項的に理解できるんじゃないかと。

山崎 「限界労働ネキの集い」って私が勝手に呼んでいる集まりがあって、書評家の三宅香帆さん、料理研究家の長谷川あかりさん、「L’AUBE BLANC」ディレクターの楫真梨子さんと食事したりするんです(笑)。全員本当に忙しいのですが、揃ったときは仕事の話やプライベートの話や、あれこれ全員食い気味に喋ってて。

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――そのメンツもなかなか強力ですが、その「限界労働ネキ」って、絶妙に山崎さんを言い当ててますね……。努力家とか頑張り屋さんとかいうレベルじゃない、まさに限界労働ネキ以外の何者でもないです(笑)。ではこの本は「限界労働自叙伝」ということで。

山崎 この本が、人生の節目節目で立ち止まったり思い悩んだりしている、岐路にいる人へのエールになるといいなと思っています。人生って、最終的には自分を信じるしかない。どっちに転んでも自分はどうにかするでしょう、っていう根拠のない自信で先へ進んで、根拠は後から肉付けしていく。人生はRPG、「どうにかするゲーム」なんだと思っている節はあります。

©山元茂樹/文藝春秋
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