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災害復旧を拒むバカの壁――なぜシステムの標準化は進まないのか

日本には1718の自治体があり、1718通りのフォーマットがある

2018/10/02

ハザードマップは危険地域の表示がバラバラ

――情報のフォーマットがバラバラだと、それを利用する国民にとっても不便だ。

 小林 典型的なのが被災地の交通情報。国道は国、県道は県、市道は市が管理しているので、スマートフォンで「どの道が塞がっていて、どの道が通れるか」を調べるには国と県と市のサイトを全部、見なくてはならない。しかも市の交通情報は地図ではなく文字。「市道◯号線は〇〇町から△△町まで通行できません」と書いてある。西日本豪雨の時に威力を発揮したのはトヨタ自動車、ホンダなどがGPSデータを元に提供した「通れた道MAP」「インターナビ通行実績」だった。

 

――国も自治体もNPOも懸命に被災地を支援しているが、情報が共有できないと無駄が増える。

 藤沢 3年前の茨城県常総市の水害では、茨城県と常総市の社会福祉協議会(戦前に行政が関与して設立した民間慈善団体の中央組織)がそれぞれボランティアセンターを立ち上げ、集まったボランティアがどちらに行っていいのか分からなかった、という話もある。

 自衛隊やDMATを参考にして、統一された災害マネジメントのマニュアルを作れば被災地での行政サービスはもっと効率化できる。「あの家には一人暮らしのおばあさんがいる」「あそこには足の不自由な人がいる」という生きた情報を持っているのは地域の行政職員。志を持って地域の行政に関わっている人々が、罹災証明書の発行といった事務処理に忙殺されるのはもったいない。

ハザードマップの様式は自治体によってバラバラだ

 小林 戦後日本の行政は「地方分権」を金科玉条としてきた。地方の首長に話を聞くと、10人が10人「システムの標準化は歓迎だ」と言うが、ハザードマップ一つとっても各自治体が別々に制作しており、危険地域の表示の仕方もバラバラ。全国で統一すれば、地図は見やすくなるし、印刷コストも下がるはずだが、国は「地方分権」に阻まれて前に出られない。

「地域の特性に合わせたきめ細かい行政が必要」というのはその通りだが、それはアプリケーションの問題。土台となるOS(基本ソフト)は一つの方が仕事は進めやすいはずだ。

 

写真=榎本麻美/文藝春秋

小林史明(こばやし・ふみあき)

衆議院議員(自由民主党所属/3期目)総務大臣政務官 兼 内閣府大臣政務官

2007年上智大学理工学部卒、NTTドコモ入社。法人営業、人事新卒採用担当を務め、退職し、2012年第46回衆議院選挙において自民党の公認を受け広島7区(福山市)から出馬し初当選。

主に電波改革やIT政策に取り組み、『公共用周波数の民間開放に関する緊急提言』(行政改革推進本部の官民電波利活用PT)を始め、「電波有効利用成長戦略懇談会」、「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」を立ち上げるなど、電波行政、情報通信政策の面から民間のチャレンジを支援し経済発展に貢献する仕組み作りに注力している。

 

藤沢烈(ふじさわ・れつ)

一般社団法人RCF 代表理事

1975年京都府生まれ。一橋大学卒業後マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て独立し、NPO・社会事業等に特化したコンサルティング会社を経営。東日本大震災後、内閣官房震災ボランティア連携室勤務を経てRCF復興支援チーム(現・一般社団法人RCF)を設立。企業や省庁・地方自治体のディスカッションパートナーとしてひと・まち・産業の復興事業創造や事業推進に伴走してきた知見を活かし、近年は東北以外の地方創生や多様な社会課題にも取り組みを広げている。