さらに、模型付きマガジンなどを扱うデアゴスティーニで社長を務めた時は、一転してライセンシーとして、ライセンスビジネスの収益性の高さを学びました。ライセンス料をお支払いする立場だったからこそ、強いブランドを持つことがいかに大きな価値を生むかを実感したのです。数多くのライセンサーと仕事をしましたが、とりわけディズニーはライセンスビジネスが非常に上手でした。封切前の映画を見せてくださって、思わずこちらが商品を作りたくなるようなプレゼンテーションをされるのです。

 この二つの経験があったからこそ、オリオンビールでもブランド価値を高めつつ収益を拡大できるという確信がありました。

お土産店には「オリオン」グッズがズラリ ©文藝春秋

ライセンス事業は「未来への投資」

 そもそもオリオンビールのロゴには明確なコンセプトが込められています。下の部分がカットされた「O」は、「常に未完成で、理想を追い求める」という姿勢。「i」は人を、その上の小さな丸は、我々が追求する「完全な円」と「沖縄の太陽」を表している。三つ星はオリオン座の三つ星であり、創業当時の米軍最高司令官の(階級章の)三つ星にもかかっています。意味は深いのに、パッと見た時にはどこか新しく、親しみやすい。さらに、沖縄という土地が持つ開放感ともよく重なっている。中にいると当たり前になってしまう魅力に、外から来た私だからこそ気づけた部分もあるでしょう。磨き方次第で、もっと広く愛されるブランドになると感じました。

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新規上場し鐘を鳴らす村野一氏 ©時事通信社

 社外から招いた専任のライセンスマネージャーの知見を大いに借りながら、私自身もライセンシーを訪れました。彼らの「同じようなものが市場に出ている」「クオリティの低いものがある」といった声を丁寧に拾い上げ、契約や商品の展開の仕方を考えていきました。ライセンス契約の条件はただ一つ、「オリオンらしくないものは出さないでくれ」。それだけです。

 現在は約60社と契約を結び、大手アパレルブランドとのコラボ商品も積極的に展開しています。Tシャツなどのグッズなら、お酒を飲むことができない年齢の方にも親しんでいただけます。認知度を高め、ファンを増やし、将来のお客様にもつながっていく。ライセンス事業は、単なる副収入ではなく、未来への投資でもあるのです。

※この続きでは、波瀾万丈のビジネスマン人生を村野一氏が振り返っています。約7300字の全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア『文藝春秋PLUS』に掲載されています。『文藝春秋』2026年10月号に掲載される記事のWEB先行公開です(村野一「オリオンビールはこうしてブランドになった」)。

村野一(むらの・はじめ)◎1962年生まれ。ソニー入社後、海外拠点の社長に就任。退社後、出版社などの社長を歴任。趣味はジョギング、ゴルフ、温泉、観光など。ビールのほかワインも好き

文藝春秋

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オリオンビールはこうしてブランドになった

出典元

文藝春秋

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2026年10月号

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