鳥 漫画家を描いたマンガはもうたくさんあるので、今さら描くのも……。でも、漫画家のことを小説にしている人はあまりいなさそうなので、いいかなと思って。
――たしかにそうですね! 表題作の「漫画でイけ」は、漫画家の対立構造が印象的でした。そこまで売れてはいないけどマニア受けする「サブカル漫画家」の主人公と、作品がアニメ化されるなどメジャーな売れっ子先輩漫画家と。
鳥 当初、そこまでのメインの要素ではなかったんですが、文芸誌の担当編集さんに「ここを掘り下げたらおもしろい」と言われて。自分の場合はヘンなものを好きなように描いて満足していて、ほかの漫画家さんに対してうらやましいという感情は湧かないタイプです。売れているものがあまりに自分の作風とかけ離れているので、うらやましがりようがない(笑)。
でも、個性を消してでも「絶対アニメ化される作品を描きたい」という目標に向かってばく進している人もいるんです。実際は恋愛マンガは好きじゃないけど、絶対当てたいから恋愛漫画を研究しつくして描くとか。そういう人たちの売れることへの執念って輝きがある。それも描きたいと思ったんです。
作者も読者もさまざまなタイプがいる
――最終的には「なぜ作品を創るのか」というテーマに集約していくように思いました。
鳥 本当に、漫画家と一口に言ってもいろんな人がいるんです。「お金が欲しいから描く」という目的だって純粋だと思うんですよ。その作品のおかげで今日一日がんばれる読者がいるわけで……だから、作者がどういうつもりで描いたかは意外と大事ではないのではと思うんです。私はわりと自分がモデルかのような読み方をされることが多いので、表での発言とかは意識した方がいいんだろうなと、最近は思うようになりましたが。
読み手としてはギャグマンガが好きなんですけど、作者がどういう人かはあまり気にならないほうです。笑えたらうれしい。「作者たるものこうあるべき」みたいには期待したりしないので、作者も読者もさまざまですよね。
