小説を書き始めたきっかけは…

――それにしても、いきなり小説が書けるってすごいですよね。

 もともと文字を書くのが好きで……ずっと日記を書いていたんです。学生時代は紙の日記帳に書いていて。その日記帳にはページの最後に「まとめ」みたいなコーナーがあったんです。なので、思いのままにぶわーっと日記を書いたあと、まとめコーナーに自分なりの考察とか、教訓みたいなのを書くんです。

 

――結論みたいな感じですか?

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 たとえば何かの集まりで10人の人に会ったら、全員についての感想を書く。その上で10人に共通することを洗い出して「このグループの人はこういう傾向にある」みたいな。この方式をやり続けているうちに、自分の知見がたまってきて。漫画界について文章にできるんじゃないかなと思いました。

福岡出身、上京にも“説明”が必要だった

――観察したことを日記に残して文章力がつき、「まとめ」のおかげで分析力が磨かれたんですね。

 今まで書いたものの中で日記が一番おもしろいんじゃないかと思っています。高校生くらいの頃はまとめはちゃんと書けていないですね。その頃は「先のことは考えてもしょうがない。人生は『今』の積み重ねだから、今の環境があまりよくないなら変えていったほうがいい」みたいなことを一生懸命書いていました。

 こういうことを書く必要があったんですよ。私は福岡県出身ですが、地方では地元に居続ける人も多いので、上京するなら「なぜ上京するのか」を周囲にちゃんと説明できないといけないから。

――以前にも小説を書いたことはありましたか?

 学生時代にも一度書いてみたことがありますが、物語として体をなしてなかったですね。経験値が低いからディテールが足りない。書いてみたいけど、言いたいことは特にないから結論がまとまらない。言いたいことがあったとして、はっきり言うのは勇気がいる……。こんなことを書いたら嫌われるかもとひよっていました。だから書けなかったのは順当な結果だったと思います。