――「一生治らない病気」ともいわれているそうですが、19歳でどう受け止めたんですか。
酒井 そっか……みたいな感じだった気がします。
――ぐっと内心で受け止めた。
酒井 診断名が出る瞬間が一番怖いですよね。恋愛でも、そろそろ別れそうな予感はあっても、いざ「別れよう」と言われた瞬間が一番辛いのと同じように、最初に言葉にされた時のショックは当然あったと思います。でも失恋と同じで、20年も経ってると当時のことをもう新鮮には思い出せなくて。
――関節リウマチは32歳でわかったんですよね。
酒井 リウマチははっきり「あ、今なった」という日がありました。瀬戸内海の直島で銭湯に行こうとしたら「あれ、動かない」って手足が固まったんです。飲み物が開けられないし、歩けない。その時は全部の関節が痛くて、座れない、立てない。あれは怖かった。
――原因はあったのでしょうか。
酒井 ストレスでした。その前の数年も、冬場になると年に1回くらい指とか膝とか関節が痛くて動かない日があったんです。でも次の日になると痛みが消えて動けたので、深くは気にしていませんでした。
「いつも痛がってる」「嘘つき」と勘違いされることも
――痛みは、その後もずっと続いているんですか。
酒井 リウマチの痛みって、流動するんです。数時間痛くてスッと消える場合もあれば、さっきまで手が痛かったのに次は膝が痛いとか、痛みが移動していく。かと思えば、1週間ずっと指が痛い時もある。
なので「今、手が痛くて」とどなたかにヘルプしてもらった1時間後に、普通に手を使えたりするんです。そうすると「痛いって言ってたの嘘かな」と思われちゃう。でも、その時には痛みが膝に移っていたりして。そうなると、いつも痛がってる、愚痴ばっかり言ってる、嘘つき、みたいに思われてしまう。周りの方に勘違いされることも多いとされる病気ですね。
――痛みは目に見えないので、他者に理解してもらうのが難しいですよね。
酒井 だから、リウマチの人は「世界で一番我慢強い」とも言われているそうです。言っても伝わらないので、痛みを他人に伝えなくなっちゃう。でも、本当は泣くほど痛い。実際の痛みと、はたから見た時の印象が一致しない病気なんです。
――治療は今も続いているんですか。
酒井 薬を毎日飲んでいます。
――リウマチの治療は長期戦になる、という話は聞きます。
酒井 「一生治らない」と聞くとずっと闘病生活が続く姿をイメージして、落ち込んでしまうんです。でも私の場合は今のところ1日1回薬を飲む2秒だけ。歯磨きやビタミンを飲むのと同じようにルーティンに組み込んじゃえばそこまで苦痛でもないし、このまま安定してくれたらいいなと思っています。

