「種雄くんを刺しちゃった」
電話口で歯をガチガチと震わせながら告げる声。「週刊文春」の取材に対し、重要参考人のY氏が明かした言葉の数々は、事件当夜の緊迫感をそのまま伝えるものだった。
現在配信中の「週刊文春電子版」動画コンテンツ「記者トーク」に登場したM記者は、「週刊文春」が2026年8月13日・20日号から2号連続で報じた「木原事件 重要参考人の初告白」の取材経緯を詳しく語った。
「自分みたいな小さな存在はすぐに潰される」
木原事件とは、2006年4月に安田種雄さんが自宅2階で不審死した事件である。傍らには細長いナイフが置かれており、当時自宅にいた妻のX子さんは事件への関与を否認。捜査は一旦終結に向かった。その後X子さんは木原誠二氏と出会い、2014年に結婚した。
その後、捜査資料を分析した警視庁大塚警察署の女性刑事らが、自殺にしては不自然だと指摘。2018年に再捜査が開始されると、捜査一課はX子さんの実家を家宅捜索。さらにY氏を重要参考人として約30回にわたって事情聴取したが、同年10月下旬に捜査は幕を閉じた。
「週刊文春」は2023年の取材当初からY氏の存在を把握し、自宅前での張り込みなどを試みてきた。しかしY氏は核心には触れず、「自分みたいな小さな存在はすぐに潰されてしまう」と語るにとどまっていた、とM記者は明かす。
事件から20年という節目
それから約3年。Y氏が今回取材に応じたことについて、M記者は「埋まらなかったパズルのピースがようやく埋まった」と感じたという。
Y氏が取材に答えた理由についてM記者は「事件が起きたのが2006年で、今年ちょうど20年という節目を迎える」ことと、「(Y氏に)ずっとこのまま黙っていていいのか、真実を明らかにしなくていいのか、という思いが芽生えた」ためだと説明した。
Y氏は事件当日の状況を詳細に証言しただけでなく、多くの物的証拠も取材班に提供した。M記者は「事件のすべての輪郭がくっきり浮かび上がってくる」と表現し、告白で明かされた内容について「最初から最後まで驚いていた」と振り返る。警察が把握していないX子さんの手紙やY氏が獄中で綴ったノートも含まれており、M記者は「警察・検察にも改めて見てもらったうえで、起訴、不起訴を判断してもらいたい」と述べた。
現在、種雄さんの遺族がX子さんに約1億円の損害賠償を求めた民事訴訟も進行中であり、9月には第2回公判が予定されている。
《この「解説番組」全編、およびY氏の衝撃的な初告白を報じた10000字超えの記事は「週刊文春電子版」で読むことができる》

【解説番組】木原事件「最大のキーマン」がなぜ今、初告白したのか? 記者が語る取材の舞台裏「埋まらなかったパズルのピースがようやく…」
週刊文春の注目記事
