沖縄育ちの作家・神里純平氏が基地内のレストランで出会ったのは、肩から指先までタトゥーがびっしりと入った異質な雰囲気の男だった。
深酒をした男が語り始めたのは、想像を絶する生い立ちと衝撃の告白だった。犯罪歴もあるアメリカ人が、なぜ日本に渡り「在日米兵」となったのか。その真相を、神里氏の新刊『あなたの知らない 怖い沖縄』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目)
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私が知り合った怖い米兵
2010年代半ば頃、基地内で働く友人にエスコートしてもらい、基地内のレストランで食事をしていたときのことだ。
友人たちと楽しく話していると、店の隅に気になる存在を見つけた。肩から手の甲、指に至るまで物々しいタトゥーを入れて口髭を生やした、スパニッシュ系の男である。どう見ても、アメリカのスラムにいるコカインの売人にしか見えない。海兵隊の服装をしているものの、本当に軍人なのかと疑ったほどだ。
これが、マイケルとの出会いだった。
海兵隊は「粗暴」「荒っぽい」などと言われて沖縄での評判はあまりよくないが、私は好奇心から気づかれない程度にマイケルに視線をやっていた。自衛隊員でタトゥーを入れている者はまずいないはずである。
これまで、沖縄のスターバックスなどで話をしたアメリカ人は明るく陽気でさわやかだったし、アメリカ人と交際した女性はその紳士的な振る舞いに感動し、もう日本人とは付き合えないとよく言っている。
多くの日本人が持つアメリカ人のイメージは、私と大差ないはずである。こんなこてこての悪そうな者は、映画でしか見たことがない。
私の視線に気づいたのか、マイケルが近づいてきた。ほんの少し体がこわばったが、エスコートをしてくれた友人もいることだしと気を持ち直した。私の側まで来たマイケルは手を上げて言った。
「MY FRIEND!」
