かつてスラムのドラッグ売人だった男が、保護司に勧められるがまま「在日米兵」として配属された沖縄の地。だが、米軍が抱える歪みはそれだけにとどまらなかった。
著者が過去に収監された留置場で出会ったのは、「30人は軽く殺した」と笑う元兵士や、露骨な人種差別をやめない男たち。そして、凶悪事件を起こした米兵たちが次々と裁きを免れていく、恐るべき「不都合な真実」だった――。
沖縄育ちの作家・神里純平氏の新刊『あなたの知らない 怖い沖縄』(彩図社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/最初から読む)
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前科のある男がなぜ米兵に?
日本では、前科がある者はまず、自衛隊に入隊することはできないはずだ。
私は、米軍が貧困層のセーフティネットになっている事実に驚愕した。これでは、沖縄で米兵が数々の事件を起こしたとしても、なんら不思議ではない。
私は自分の顔がこわばるのが、わかった。そんな私の心中を察してかマイケルは話題を変えた。
「純平、FUCKしにいかないか?」
「女を買いにいくのか?」
今の沖縄には、日本人と米兵が一緒に女遊びをする場所はないはずだ。米兵相手に春を売っているフィリピン人がいる場所はあるものの、相当マイナーな情報だ。
マイケルとタクシーに乗り到着した場所は、那覇市内のとあるクラブだった。
中はよくあるクラブに比べると明るく、皆、陽気にサルサダンスを踊っている。日本人の女性もいる。通称「アメジョ」と呼ばれているアメリカ人好きの女性たちだ。
スパニッシュ系のマイケルはサルサが得意なのか、音楽のリズムに合わせて気持ちよさそうに酔っている。
30分ぐらい経っただろうか、マイケルがトイレに誘った。
私は、そこで言葉を失った。
