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起訴はありえないといった口調だ。日米地位協定の知識はあったが、すでにトムは身柄を拘束されている。しかも強盗で執行猶予がつくという話はほとんど聞いたことがなかったので、私はたしなめるように言った。
「アメリカと違って日本では強盗は罪が重く、いくら外国人といったって実刑は免れないよ」
するとトムはウインクをした。
「俺は、体の調子が少し悪いから北谷の軍病院に行くんだ」
それ以上は何も語らなかった。
トムの起訴の当日になった。
トムは自らが語っていたように、北谷の軍病院へと送られたようだった。
「俺たちは神様に守られているんだ」
その後、ディックと2人っきりになった。
ディックは、白人に対してかなりの憎悪を持っていた。トムが軍病院に送られると、トムの悪口をこれでもかと言った。
「あいつは、戦争で人を殺したなんて言っているけど、ただの嘘つきだよ。白人はみんな戦争から帰ってきたら安定剤漬けだよ。けど、俺たちは違う。ここの強さが違うんだ」
そう言って、自分の胸を親指で指した。
「あいつは、ガバメントに守られているかもしれないけど、俺たちは神様に守られているんだ」