男が語った犯行理由
事件の起きる10日ほど前、遊び仲間である阿藤周平(同24歳)、稲田実(同23歳)、久永隆一(同23歳)、松崎孝義の5人で酒を飲んでいた。そのうち酔いも手伝い、若い女性の家に遊びに行こうという話になり、5人で出かける。
その途中、道端に置かれていた荷車をひっくり返し、積んであった荷物を道に巻き散らかしてしまった。単なる酒の勢いによるいたずらだったが、事情を知った荷車の持ち主は怒り心頭。いくら詫びを入れても許してくれない。そこで、荷物をひっくり返したときに一緒にいた阿藤に800円を借り酒を購入。荷車の持ち主に振る舞い、なんとか謝罪を受け入れてもらう。
無事に解決できたものの、阿藤に借りた800円を返す当てはなく、返済の催促にも有耶無耶に答えることしかできない。そもそも自分の巻いた種。なのに、どうにもイライラが募る。そして事件当日の24日夜、居酒屋でやけ酒を煽っていたところ、一つの噂を思い出した。どうやら村に住む早川さん夫婦にハワイ在住の親戚から大金が贈られたらしい。どうにか、その金を盗めないものか。
あらぬ企みを実行に移すべく、焼酎を手に早川宅へ向かったのが夜の10時ごろ。夫婦が寝入ったころを見計らい、近くにあったバールで窓をこじ開け中に侵入する。が、これから自分が取ろうとする行動を考えると手の震えが止まらない。
そこで持参した焼酎を一気飲みし決意を固め、部屋の物色を開始。と、ほどなく物音に気づき起きてきた惣兵衛さんと鉢合わせになってしまい、台所にあった斧で彼を滅多打ちにして殺害。騒ぎを聞いたヒサさんは「強盗じゃー!」と叫び布団の中に隠れる。もはや生かしておくわけにはいかない。
容赦なくヒサさんに馬乗りになり布団で窒息死させる。その後、内部犯行を偽装する工作を施してから、金を奪い、家の内側から鍵をかけ床下から這って逃走。焼酎の空き瓶を台所に置き忘れたことを思い出したが、現場に戻る勇気は出ず、そのままにした──。