犯人は素直に「自白」したが…

 吉岡は素直に犯行を自供した。彼の家から押収された着衣には惣兵衛さんと同じB型の血液も付着しており、吉岡が犯人であることに疑いの余地はなかった。しかし、警察は納得しない。現場の状況から単独犯とは考えにくい。刑事の勘というより単なる思い込みだが、警察は吉岡に共犯者の名前を明かすよう迫る。

写真はイメージ ©getty

 思いもよらぬ展開に、吉岡は何度も単独犯であると主張した。が、警察は頑として聞き入れず、「白状しなければ体に聞いてやる」と殴る蹴るの暴行を働く。精神的にも肉体的にも疲弊していくなか彼は考える。このままなら死刑になるのは間違いない。が、首謀者は他にいて自分は犯行を手伝っただけと言えば罪が軽くなるのではないか。こうして吉岡は金を貸してくれた阿藤が主犯で、前出の他3人が共犯であると嘘の告白を行った。逮捕から2日後の28日のことだ。

次の記事に続く 「ウソの自白で友人が無期懲役」「その後、許しを得られたが…」夫婦殺害だけじゃなかった…第2の犯行に手を染めた「22歳男のその後」(昭和26年の事件)