映画『顔 -かお-』に主演した韓国の実力派俳優パク・ジョンミン。映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』やNetflixドラマ「ガス人間」(脚本・プロデュース)などの監督ヨン・サンホによるミステリーで、盲目の篆刻家(てんこくか・印章を彫る芸術家)の若き日と、その息子の二役を演じ、第62回百想芸術大賞で最優秀演技賞を受賞した。

 篆刻家ヨンギュの失踪した妻ヨンヒの白骨遺体が発見され、息子ドンファンは母のことを調べていく。すると、誰もが「彼女の顔はとても醜かった」と証言するが……、という物語だ。

 1970年代の混沌としたソウルを背景に、パク・ジョンミンが目が見えないため愛する妻の顔を知らない男の複雑な心理と、真相を追う息子の受ける衝撃を見事に演じ分けている。彼は俳優として引っ張りだこなことに加え、自著の出版をきっかけに出版社MUZE(無題)を立ち上げたという多彩な“顔”の持ち主だ。その素顔はどこにあるのか。話を聞いた。

ADVERTISEMENT

パク・ジョンミン 撮影:末永裕樹

◆◆◆

原作を読んですぐにヨン・サンホ監督に連絡した

——『顔』は、映画自体にも、パク・ジョンミンさんの演技にも衝撃を受けたのですけれども、出演の大きな決め手は何だったんでしょうか。

 何か一つだけ大きな決め手があったというわけではないのですが、やはりヨン・サンホ監督の作品だから、というのはまずありました。監督からいきなり電話がかかってきて、「1本映画を撮ろうと思うんだけれども」ということでお声がけをいただきました。それがこの『顔』だったんですが、原作をすごく面白く読んでいた記憶があったんですね。それでぜひご一緒したいなと思って決めました。映画に対する深い考察などは、引き受けた後にいろいろ考えました。

映画『顔 -かお-』

——では脚本を読む前に、原作の漫画(グラフィック・ノベル)を読まれていたんですね。

 はい。原作はヨン・サンホ監督自身が描いてます。その本が出版された時に、監督がサインをしてプレゼントしてくださったんですよ。『サイコキネシス -念力-』(2018)の舞台挨拶の時でした。帰宅してすぐに読み、読み終わるや否や監督に連絡して、「もしこの漫画を映画化するのであれば、ぜひ僕を出演させてください」と頼んだ記憶があります。その時はちょっと面倒そうに「あ、うん、わかったよ」とあしらわれた感じだったんですけれども(笑)、映画化にあたり本当に一緒にやろうと声をかけていただいたので、とてもありがたかったです。

母の失踪の謎を追うドンファン(パク・ジョンミン)