視覚ではなく聴覚や嗅覚や触覚に集中して
——ヨン・サンホ監督とは何度も組んでいますが、パク・ジョンミンさんから見て監督の特徴というのはどんなところだと思いますか?
まず一つ目は、この世界を見つめる眼差しです。そこにヨン・サンホ監督ならではの独自のものがあり、観る人を魅きつけるのではないでしょうか。僕はかなりそこに共感しているんです。もう一つの特徴は、ユーモアです。監督は辛い、シリアスな物語を多く手がけていますが、多くのスタッフ、キャストが繰り返し一緒に作業できているのは、監督の持つユーモア感覚のおかげではないかと思います。シリアスな映画というのは現場でも疲労感が溜まりがちですが、それでも誰もがヨン・サンホ監督とまた仕事を一緒にしたいと思わせる、とても独特なユーモアのあるリーダーシップを持っている。そこが大きな魅力だと思いますね。
——父のヨンギュは生まれつき全く目が見えないという設定ですが、パク・ジョンミンさんのお父様も目が不自由でいらっしゃるとお伺いしました。差し支えなければ、今回の映画に出演してみて、何か感じたことを教えていただけますか?
この映画を撮ることで、父に対する気持ちや、考え方が変わるということはありませんでした。というのも、何より父自身が視力を失ってから誰よりもそのことに胸を痛めていましたから、(私たちが)父の前で直接的に思いを表現することはありませんでした。あまり気遣いをし過ぎるとかえって父親のことを傷つけてしまうと思ったので。ただ、自分の演技という点で言えば、見えている状態で見えない演技をしていたわけですが、視覚ではなく聴覚や嗅覚や触覚などに集中していきました。そのことにより自分自身の体が小さくなっていくような感覚がありました。気がつけば動きも遅くなるし、何もかも慎重になっていくんですね。そして映像でヨンギュを演じている自分の姿を見た時に、体型や動きが父によく似ていることに気づきました。息子だから当然とはいえ、やはりとても不思議な気持ちになりました。


