父親の青年時代と息子の二役を演じて

——ジョンミンさんは映画の中で、盲目の篆刻家イム・ヨンギュの青年時代と、その息子のドンファンの二役を演じています。原作や脚本を読んだ時点で感じたことと、実際に父親と息子の二役を演じてみて感じたことに、何か違いはありましたか?

若き日のヨンギュ(パク・ジョンミン)

 まず若い頃の父ヨンギュは、原作やシナリオではもっと悲惨で、より卑屈な印象を受ける人物として描かれていました。僕は演じる上では、彼が侮辱を感じた時に、強者の前では一貫して笑っているような、そういう表現を選びました。そういった表現をすることによって、より立体的にこの人物を見せることができたのではないかと思っています。一方、息子のドンファンは原作では、少し味気ないところのある人物だったんですね。単なる語り手に過ぎないような印象を僕は持っていたんですが、撮影をしながら、ドンファンの心の中で巻き起こっている感情の揺れ幅というのが、思っていた以上に大きいものなんだなということを感じました。

パク・ジョンミン 撮影:末永裕樹

——撮影では、1970年代の若き父親パートと、現代の息子のパートを、それぞれ分けて撮っていたんですか? それとも、交互に演じている感じだったんでしょうか?

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 実は交互に撮っていたんですけれども、幸いなことに同じ日に両方を演じることはなかったです。それは俳優としてはすごく助けられた部分ではありました。

映画『顔 -かお-』

——それでも演じ分けるのは大変だったのではと推察しますが、混乱しないように、何か気を付けていることなどありましたか?

 若き日の父ヨンギュが知っていることを、息子ドンファンが知っていてはいけないし、逆もまた然りです。だからお互い何を知っていて、何を知らないのかということを自分の頭の中で整理する必要がありました。