宮藤 僕は2度目だったんですが、確かに自分が撮りたいものが明確で、ちょっとでも僕の理解や演技にズレがあると、「今のは違います」と遠慮なく言ってくださるんで、やりやすかったです。プレッシャーもあるんですけど、ちゃんと“見てくれている”と感じるし、監督の正解に向かって演技をすればいいから、俳優としては迷いなく仕事ができました。
役所 独特のこだわりも面白いですよね。今回の場合は“食べる”シーン。主役の西島君はじめ、探偵たちが集まっての会議の場面で、中島さんからの注文は「持ち込んだ食べ物をだらだら食べながら喋ってほしい」。緊張感のある作品だし、会議の内容自体も軽いものじゃないのに、「できるだけ行儀悪く食べながらやってくれ」って。だから僕は机に足なんか乗せてるわけですが。
宮藤 確かに、食べるシーンにこだわってました。僕も居酒屋で「セリフ言いながらガンガン食べてほしい」と言われて、リハーサルでわざわざコンビニで居酒屋系のメニューを買ってきて、食べる練習をしました。でも9割がた僕が喋るシーンなので、殆ど食べられない。代わりに聞き役の西島さんと満島ひかりさんが食べまくってて大変そうでした。
役所 宮藤さんは普段から食が細いから。あまり食べてるイメージがないですもん、打ち上げとかでも。
宮藤 そう、コース料理だといつも渋滞しちゃって。
役所 そうでしたね(笑)。
23年ぶりに舞台に立って感じた「映像との違い」
宮藤 その打ち上げっていうのは10月配信のNetflixドラマ『俺のこと、なんか言ってた?』のほうなんですが、舞台俳優が主人公だから、当然、劇中劇で舞台の上演シーンがあるんです。役所さんが「だったら実際にお客さんを入れて上演して、それを撮ればいいんじゃない?」と仰ってくれて、で僕が一本、芝居の台本を書いて下北沢のザ・スズナリで公演をしたんです。
役所 思いつきで面倒なことを言ってしまって(笑)。
宮藤 いえいえ、すごく楽しい経験でした。役所さんが舞台に立たれたのはかなり久しぶりですよね。
役所 23年ぶりですね。
宮藤 やっぱり映像のお芝居とは違いますか?
役所 違いますね。それこそ舞台の場合は芝居の“正解”が見えやすいんですよ。目の前にいるお客さんたちの反応を見ながら演技ができるわけですから。もちろん怖さもありますけど、醍醐味ですよね。
宮藤 その舞台の演出は僕がやらせてもらったんですが、役所さんは稽古場から毎回100%本意気でくるので驚きました。あれはいつもそうなんですか?
役所 探り探り小出しにしてくっていうのができないんですよ。稽古はサラッと流して、本番まで本気をとっておくというのも。映画やドラマの撮影でも、そこは変わりませんね。
