宮藤 それでも、咄嗟にセリフが出てこない時ってありますよね。映像だと撮り直せるけど、舞台だとそのわずか数秒がものすごく長く感じたりして……。

役所 それは本当にそうです。しかも自分より相手のセリフが出ない時の方が焦りますね。相手は思い出せずに黙ってるだけなんだけど、こっちは「え!?」ってなってるから。

宮藤 そう! お客さんから「今日、間違えたよね?」とか言われる時って、だいたい相手役のセリフが飛んだ時なんですよ。動揺して不審な動きをするのはこっちだから(笑)。要は堂々としているもの勝ちなんですよね、舞台は。

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役所 そうかもしれません。

「一番汚れたところにこそ一番美しいものがある」というメッセージ

宮藤 ところが『時には懺悔を』の僕はセリフがないシーンが多くて……。なにしろ、前半はほとんど息子と二人きりでしたからね。

役所 そうですよね。

宮藤 だけど、「なんでもいいから悪態をついてくれ」って言うから監督が。それで、空見ながら「ちきしょう晴れやがって」って言ってみたり。なんだそれ、なんですけど(笑)、人と喋らない、黙ってる芝居っていうのも難しいなと思いました。かと思ったら、最後のほうに出てくる「よかった」というひと言に、なかなかOKが出なくて。実際、すごく大事なシーンだったので、最終的には納得できるとこまでやらせてもらえてよかったんですが。役所さんの場合はどうですか。例えば自分からリテイク(撮り直し)を申し出ることはあるんですか?

役所 よほど失敗してしまったら言いますけど、基本、監督がOKと言ったら、もう諦めます。監督がいいというならいいんだろうと。撮影中に僕が口を挟むことは、ほぼないですね。

宮藤 本読みや衣装合わせの段階ではどうですか?

役所 ああ、衣装は大事ですよね。自分が役に対して持ってるイメージとかけ離れた服を着て演技するのは難しいですから。逆に、衣装合わせで最初から違和感がないと、この監督とは通じ合ってるんだなって安心して撮影に入れますね。

宮藤 今回の僕の衣装は「さすがに俺でも着ないよ」っていうヨレヨレTシャツかタンクトップばっかりで(笑)。役所さん演じる寺西は、ちゃんと渋くてカッコよかったですね。

 

役所 いやあ、探偵社の社長とくれば、それほどイメージがズレようもなかったでしょうしね。