誠実であるために、自分で自分を救う

伊藤亜和さん ©佐藤亘/文藝春秋

――本作の最後の方で綴られている、「わたしもいつか、ちゃんと自分で自分のこと、救えるようになりたいよ」というメッセージが深く印象に残っています。「自分で自分を救う」とは、具体的にはどういった状況なのでしょうか。

伊藤 最近、ある人と揉め事があったんです。頭では「自分は悪くない、少なくとも自分だけが悪いわけじゃない」とすごく分かっているのに、いざその本人を目の前にした瞬間、反射的に謝ってしまった。その後、気まずくなって音信不通のような形にしてしまったんです。

 もし、自分が自分の価値や考えを最後まで信じ切ることができていたら、相手に対して自分の意見を最後まで言い切ることができたはずです。それができなかったから、相手に対して「急にいなくなる」という不誠実なことをしてしまった。相手に対して誠実であるためにも、ちゃんと自分で自分のことをサポートし、助けてあげられるようにならなければいけないと痛感しました。誰かが「あなたは悪くないよ」と言ってくれるのを待っているようではダメなんです。自分で自分の味方になって、自分自身を救わないといけないんです。

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伊藤亜和さん ©佐藤亘/文藝春秋

――自分を救うことが、結果的に他者に対する誠実さにもつながるということですね。

伊藤 そうです。人間関係において誠実であるために、自分が自分に対して誠実でなければいけない。まさに今思っていることが、偶然この本の中にまとまっているともいえますね。

 私は、自分が先進的な考えを持っているとか、本を通じて誰かに何かを教えてあげようなどとは全然思っていませんが、この『魔女になりたい』が誰かの新しい道をつくる一冊になったら嬉しいです。

魔女になりたい

伊藤 亜和

文藝春秋

2026年8月27日 発売

最初から記事を読む 「劇的な死に方がしたい」「ひっそりと死ぬのは考えられない」“万バズ”してデビューした文筆家(29)が明かす、“自分のすべて”をコンテンツにしたいと切望する理由