2010年4月に詐欺容疑で逮捕された桑田一也死刑囚。単なる小悪党と思われた男の裏には、女性2人を死に至らしめた凄惨な事件が隠されていた。
1人目の被害者は当時不倫関係にあった22歳女性。男は彼女の口座から約1,000万円を無断で引き出し、返済を巡る口論の末に首を絞めて殺害、遺体をドラム缶に詰めて放置した。なぜこの凄惨な殺人事件は「5年間」もの間、周囲に露呈することがなかったのか?
ノンフィクションライターの高木瑞穂氏の文庫新刊『殺め人』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目)
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明るみになる残忍性
発端は2010年4月、桑田が詐欺容疑で逮捕、起訴されたことにさかのぼる。
そのとき小さなリフォーム会社を経営し、事業に行き詰まり生活に困った桑田は、知人女性に対して約90万円の詐欺を働いた。逮捕時に写真週刊誌に載った桑田の本人写真は、パンチパーマに色付きのメガネをかけいかにも強面風だったが、犯した罪を思えば単なる小悪党だと当初は見られていた。だが、後に、過去に女性2人を殺めていたという、隠れたもう一つの顔が明るみになる。
1人目の被害者は、2005年当時に桑田と不倫関係にあった日比野かおりさん(当時22歳)だった。
桑田は、妻子ある身でありながら、2005年7月から日比野さんと沼津市内の自宅で同棲生活を始めた。が、住宅ローンの返済や生活費に困り日比野さんの郵便貯金口座から合計990万円を無断で引き出した。後に桑田の仕業だと発覚し、日比野さんは桑田を責めたが、返済を確約したことから被害届を提出することはしなかった。
同年10月26日夕方、事件当日。桑田と日比野さんは、カネの返済を巡り口論となった。現場は自宅寝室で、日比野さんはベッドに腰掛け、桑田は立っている状況だった。
日比野さんが「いつお金が用意できるかはっきりして」と詰め寄った。桑田が「それはできない」と拒むと、日比野さんは痺れを切らして「警察に事情を話して、訴える」と言って立ち上がり、寝室から出ようとした。
