『噂の眞相』早刷りをいち早くチェックする田中康夫
中森 在りし日の岡留安則さんを知る人は、口を揃えて「岡留イズム」と言います。岡留さんという人は、編集者として極めて傑出していました。いつも真っ黒いサングラスをかけていて素顔が全然見えないし、「左翼活動家出身で怖い人だ」というイメージをもっている人が多い。ところが実際会ってみると、岡留さんはものすごく優しいし紳士的なんです。
これは佐高さんにも共通する点だけど、実は癒し系なんですよ。偉ぶらない。自慢話をしない。若い連中を前にマウントを取らない。セクハラをしない。女性にお酌なんて絶対させない。
佐高 そう言われるとそうかもしれない。いつの間にか新宿ゴールデン街のカウンターに出没したかと思ったら、自分では多くを饒舌に語らず「フン、フン」とうなずきながら誰かの話にジッと耳を傾ける。そしてフッと横を見たらいつの間にかいなくなっていて、岡留は別の店にハシゴしている。そうやって夜な夜な話を情報収集する神出鬼没の忍者でした。
中森 僕は『噂眞』の編集部によく顔を出していたんですよ。『噂眞』は毎月9日に配本されるんですが、その前日の8日には見本誌ができてくるんです。
佐高 新宿の編集部まで『噂眞』の早刷りを見に出かけたわけね。
中森 早刷り目当てで僕が編集部に行くと、そこに田中康夫がいるんですよ。田中康夫と僕がウワーッ! とページを繰って、今月の特ダネは何か、あわててチェックする。田中康夫や中森明夫は誰よりも早く『噂眞』をチェックして、誰かのゴシップが書いてあったら「こいつをやっつけてくれ」とファックスを送りつけてくる、と斎藤美奈子が呆れていました。田中康夫にはそういうマメなところがありました。