〈あらすじ〉
パレスチナ・ヨルダン川⻄岸地区にある人道支援組織「赤新月社」の緊急通報センター。2024年1月29日14時半頃、オペレーターのオマール(モタズ・マルヒース)は、ドイツ在住のパレスチナ男性から通報を受ける。「ガザ北部で親族が乗った車がイスラエル軍に銃撃されたようだ」。さっそく確認の電話をかけるが、応答した人物の叫び声とともに通信は途絶。オマールは動揺するが、その後、「まだ姪が車内に隠れている」との連絡から再び電話すると、「早く来て、撃たれちゃう」と少女の声が――。彼女はヒンド・ラジャブ・ハマダ6歳。同乗していた叔父、叔母、その子供たちは皆死んでしまったという。オマールはすぐに救急隊の派遣を要請するが、「救護チームの安全が確保できない限り出動できない」と調整責任者のマフディ(アメル・フレヘル)。救急車はヒンドがいる場所から8分ほどの距離にいるのだが……。
〈見どころ〉
ヒンドの音声は実際のものを使用。また俳優はエキストラを含めてすべてパレスチナ人を起用。
ヴェネチア国際映画祭で驚異の8冠!痛切な傑作ドキュフィクション
2024年1月29日、イスラエル攻撃下のパレスチナ・ガザ地区で、緊急通報センターに電話で助けを求めながらも12日後に遺体で発見された少女ヒンド・ラジャブ。彼女を必死に救おうとした人々の姿を、チュニジアの映画監督が徹底したリサーチをもとに映画化。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆酷な映画だ。初めこそスリラー映画の変種を見ている気分を覚えるかもしれないが、まったく異質の恐怖感やもどかしさが、じわりと身体を侵してくる。緊急通報センターの狭い空間に描写を絞った手法が、観客の想像力を触発する。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆救いを求める本物の幼い声と、非常事態を再現する大人たちの演技。全てをドキュメントにすると私たちは他人事として蓋をしてしまうのか。病院や救急車への爆撃の惨状が刺さるのに、ドラマ仕立てが何とも空々しくて残念。
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森直人(映画評論家)
★★★★★戦時下の“声”が胸の奥に刻みつく。現実と内面を往還し、助けられないもどかしさに身を焦がす体験は悲劇の消費を超えるはずだ。『Four Daughters フォー・ドーターズ』の監督ならではの映画空間が体温を伴った現在形で迫る。
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洞口依子(女優)
★★★★☆上映時間89分の間に戦争の恐怖を冷静に体感。実際の音声記録と劇的な再現映像を巧みに融合させ、戦争の真の代償をスリリングに描く。大島渚作品がそうであったように、政治観という冷や水を被って目覚める大事な映画体験。
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ゲスト評者
片岡一郎(活動写真弁士)★★★★☆作品の軸をなす実際の音声の力が圧倒的で、見る者に強い共感を抱かせる構造になっているが、作り手の意図が込められているドラマパートこそ慎重に見る必要がある。重要なのは本作がドキュメンタリーではないということなのだ。
かたおかいちろう/1977年生まれ。2002年に澤登翠に入門、同年デビュー。日本を代表する活動写真弁士として国内のみならず国際的に活動中。映画『カツベン!』の実演指導や『ゆきてかへらぬ』などに弁士役で出演も。著書に『活動写真弁史 映画に魂を吹き込む人びと』がある。
- 最高!今すぐ劇場へ!★★★★★
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©MIME FILMS ― TANIT FILMS 提供:ニューセレクト/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
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『ヒンド・ラジャブの声』
9月4日(金)~
監督・脚本:カウテール・ベン・ハニア
2025年/チュニジア、仏/原題:The Voice of Hind Rajab/89分
https://hindrajabjp.com/




