監督はプロダクションノートで「かつては世界のすべてとも思えた仲間との友情を描き、ある意味恋愛にも似た感情が沸き起こった」と語っている。観客に伝えたい想いについて聞いてみた。
「国籍や人種を問わず、学生時代というのは誰にとっても一番キラキラと輝かしい時期。当時は大そうな夢を見たり、時にはバカげたこともしましたが、大好きな友人たちのおかげで、毎日が楽しかった時期でした。しかし、私自身は今や中年です。世の中の現実というものを経験し、純粋さというものをかなり失って生きています(笑)だから、時々友人たちと学生時代を思い出すと、恥ずかしくなったり、思わず笑ってしまうんですよね。
『ファーストライド』をご覧になる皆さんにも、少しだけ現実世界の大変さを忘れて、大切だった友人たちや学生時代の純粋な思い出を振り返りながら、笑顔になっていただければと思います」
4人の俳優が「仲良くなりすぎたせいで、時には…」
「純粋さを失ってしまった中年」を自覚するナム・デジュン監督は、今回の映画を作る前に、とある「準備」をしていた。クランクインの前に、俳優たちを本当の友達にしてしまったのだ。
「撮影が始まる前から、4人の俳優たちには実際の友人のように仲良くなってほしいと思いました。そこで、何度か集まる機会を作ったり、一緒にお酒を飲んだりしました。するとクランクインする前にはすでに仲良くなっていましたね。そして撮影が始まると、俳優たちは劇中の友人たちそのものになっていました」
その結果、現場の雰囲気は監督の想定を超えていく。その中で嬉しい“誤算”もあった。
「予想外のケミ(化学反応)が起きてしまいまして、4人の俳優たちが、みんなどんどん“バカ”モードになっていったんですよね(笑)。彼らが仲良くなりすぎたせいで、時にはイタズラやおふざけを僕が止めなきゃいけない場面もありましたよ。おかげで、いつも現場にいるみんなが笑いをこらえるのに必死でした」

