新進気鋭、天才、神童。A24製作の映画『バックルームズ』を手がけたケイン・パーソンズ監督は、世界中のメディアからそう称されている。2005年生まれ、現在21歳。YouTubeからハリウッドに進出したばかりの監督に、クリエイターとしての歩みと今後を聞いた。
◆◆◆
時代の寵児が語る「現在地」
2026年5月、映画『バックルームズ』は世界48か国で初登場No.1に輝いた。この記録を史上最年少で打ち立てた監督のケイン・パーソンズは、一躍、世界で最も注目される映画監督のひとりとなったのだ。
同じ月、米WIREDのインタビューにて、パーソンズはこの数年間を「ずっと忙しかった」と振り返った。環境が急激に変化した今、少しでも休むことができれば、自分に起きたことをもっと俯瞰できるはずだと。
それから約3か月。来日したパーソンズは、ちょうど休暇を終えたばかりだと語った。
「以前よりも頭がクリアな状態で、いろんなことを考えられています。この数年間で経験したこともすっきりと整理できました。よかったことや、再びやってみたいことは何か。逆に二度と我慢したくないことは何なのかも、今ではよくわかっています」
映画の原点は、2019年に匿名掲示板4chanから広まったネット怪談「バックルームズ」だ。現実世界から不意に足を踏み外してしまうと、黄色い壁と蛍光灯が無限に続く異空間へ迷い込む……。一枚の写真と短い文章から始まった怪談は、あらゆる二次創作を生み出すムーブメントとなったのだ。
2022年、当時16歳だったパーソンズは、この怪談から着想した短編『The Backrooms (Found Footage)』をYouTubeに投稿。3DCGソフトで実写さながらの異空間を作り上げ、その後も「Backrooms」というタイトルで同じ世界観のシリーズ作品を発表した。
メディア展開のオファーが届いたのは、最初の作品を投稿してからわずか1~2か月後。しかし、パーソンズは「YouTubeからハリウッドへ」の夢物語を単純に喜んだわけではなかった。


