創作のモチベーションは「楽しさと好奇心」

 創作の出発点は、中学時代に興味を抱いたVFXだった。短編映画を作りはじめたときも、その原動力はやはり映画ではなくVFXそのものだったという。

「中学時代の短編は、VFXを使った見せ場やショットを入れたくて作ったようなもので、ほかの要素はあとからついてきました。僕が惹かれたのは、いろんな世界やアイデア、キャラクターなどを、細部までとことんこだわりながら、デジタルで作り上げられること。無料のソフトだからお金もほとんどかからないし、とにかく面白かったんです」

ケイン・パーソンズ監督

 パーソンズをクリエイターとして育ててきたのは、「もっと学びたい」という知的好奇心と、純粋な創作の楽しみだった。「自分の作品で気に入っているものは、強い創作意欲がいきなり湧いてきたものがほとんど」という。

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「もう寝ようと思っていたのに、ふと意欲が湧いて、そのままパソコンで一晩中作業してしまうことがあります。そうやって小さなアイデアを形にしただけのものが、気づけば半年かけて作る短編映画になり、しばらく生活の中心になってしまうんです」

 映像制作についての知識や技術は、そのようにYouTubeでの創作と実践を重ねることで体得したものだ。「映像の構図や作曲技術、自分なりの作り方も自然と身についた」という。

映画からYouTubeへの回帰、変わらない創作意欲

 長編映画を完成させ、休暇も終えたパーソンズは、現在の目標を「これまで通り、今やっていることをこのまま続けていくこと」だと話す。映画とYouTubeを区切ることなく、創作にひたすら没頭する姿勢も変わっていない。

 象徴的なエピソードは、『バックルームズ』の完成後に手がけた新作短編『Everything Must Go』の制作秘話だ。日本の映画館でも本編のあとに上映されているが、これはA24から「劇場で上映できるかもしれない」という話があって制作が加速したものだったという。

映画『バックルームズ』

「もともと、夏のあいだにYouTubeで『Backrooms』の新作を作りたいと思っていたので、この話に乗ろうと思いました。締切がなければ長い時間をかけてしまうことはわかっていたので、この機会をいっそ利用してやろうと」