ところが、制作期間は2週間ほどしかないというタイトなスケジュール。最後の2日半は一睡もせずに作品を完成させた。「壁を虫が這っている幻覚が見えたり、幻聴が聞こえたりした」と笑う。
「翌日からの上映になんとか間に合うよう、朝日が昇るころ、汗だくでA24へファイルを送りました。時間に追われていたので、作品に反省点はありますが……まあ、楽しかったですね(笑)」
最終目標は「ありません」
懐疑的だった映画化について、パーソンズは「いいパートナーに出会えました」という。
「作品をみんなで作り上げていく、素晴らしいクリエイティブの時間でした。この作り方も、彼らのことも大好きになったので、ぜひ今後も一緒に仕事をしていきたいです」
YouTubeと映画を軽々と越境し、スティーヴン・スピルバーグやクリストファー・ノーランという名監督たちも一目置く、新世代の旗手となったパーソンズ。現在の彼が思い描く、クリエイターとしての未来像とは……。
そう聞いてみると、「僕にはひとつの最終目標はありません」と返ってきた。
「大きな目標を目指すより、たくさんの小さな目標をひとつずつ達成したいんです。もちろん、いずれ達成したい目標はありますが、そのあとは『次は何をしよう?』と考えることになる。だから、いつでも何かに興味を持てるようにしておきたいし、好奇心を持ち続けていたい。面白いクリエイターたちと、引き続きものづくりを続けていきたいです」
現在は3つのプロジェクトを並行して開発しており、今後2年ほどかけて取り組む計画だという。「その途中でも、きっと新しい興味がどんどん湧いてくると思います」とほほえんだ。
「僕が探しているのは、永遠に続く道なのかもしれません。何かを探しているけれど、その対象がさまざまな方向へ広がっているから、いつまでも探し続けていられる。『大切なのは目的地ではなく旅そのものだ』とよく言いますが、まさにその通りだと思います」
『バックルームズ』
監督:ケイン・パーソンズ/出演:キウェテル・イジョフォー、レナーテ・レインスヴェ、マーク・デュプラス、フィン・ベネット/2026年/アメリカ/126分/配給:ハピネットファントム・スタジオ/© 2026 Backrooms Rights LLC, PC Films, LLC. All Rights Reserved./公開中

